(ブルームバーグ): 職場でハラスメント(嫌がらせ)を受けたとの従業員の訴えを、公にせず社内で処理する慣行が米国の銀行業界に存在する。これを変える取り組みは先週、ほぼ半数の株式を保有するゴールドマン・サックス・グループ株主から支持を取り付けた。過半数にはわずかに届かなかったものの、活動家は勝利に近い結果だと歓迎している。

  しかしウォール街の慣行は入社時の契約に基づき、裁判ではなく社内仲裁を強制するもので、これを廃止に持ち込む道は長く困難だと見受けられる。ゴールドマンを含め金融機関は今も、係争を内々に解決する方針を堅持しており、連邦議会が分断されていることからも法成立による廃止は望めそうにない。  

  4月29日のゴールドマン株主総会では、セクハラや差別を受けたと主張する従業員に仲裁による解決を強制することについて、労働者に与える影響を報告にまとめるようゴールドマンに要求する事案が出された。これに対してゴールドマン株の49%を保有する株主が、支持を表明した。

  活動家らは過半数を得られなかったものの、予想以上の支持率だったとして、前向きな展開だと評価している。

  ハーバード大学法科大学院で労働者の権利促進プロジェクトを担当するテリ・ガースティン氏は、「運動に勢いを付け、強制的仲裁は正しくないという共通認識を育てるのに役立つ。このやり方は公平ではなく、経済にとってもプラスにならない」とインタビューで話した。

  ゴールドマンは差別問題でウォール街最大級の集団訴訟を抱えている。「#MeToo」運動初期にセクハラ被害を告発したジャーナリストのグレッチェン・カールソン氏など、投資家は強制的仲裁の問題について行動を起こすようゴールドマンに要求している。ウェルズ・ファーゴは昨年、強制的仲裁を廃止した。

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