(ブルームバーグ): 米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はビットコインでのテスラ車購入を今後受け付けないとツイートした際、ビットコインを生み出す「マイニング(採掘)」作業で、「化石燃料の消費が急激に増える」懸念を理由として挙げた。

テスラはビットコイン利用の車購入停止、環境配慮−マスク氏

  マスク氏の方針転換で、ビットコインのみならず、仮想通貨市場全体が大きく値下がりした。もちろんこの市場は常に不安定で、通貨間の値動きの相関性は大きい。だがそれでも市場全体の反応は素早くはっきりしていた。

  ブルームバーグのポッドキャスト「オッド・ロッツ」では、世界的な半導体不足について多くを語ってきたが、半導体と仮想通貨マイニングの関連性についてはまだ取り上げていない。だが、この2つを完全に別の話と捉えることはできないことがかなり明白になりつつある。

  ビットコインは採掘に特別な半導体を必要としている。ビットコイン採掘のためだけに使われる半導体だ。ただ、イーサリアムのように、グラフィックカードとしても使える半導体を用いて採掘できる仮想通貨もある。実際、これがゲーマーの間に大きな不安をもたらしている。仮想通貨のマイニング需要で、半導体メーカーの米エヌビディアなどからグラフィックチップ入手が容易でないとの不満が募っているのだ。

  さらに、幾つかのリポートによると、ハードドライブの価格が中国で急上昇。「Chia(チア)」という新たな仮想通貨を採掘するためにハードドライブが使われているためだ。オンチェーンFXによれば、チアの時価総額(完全希薄後)はすでに200億ドル(2兆1900億円)を超えている。

  もちろん、1日の価格変動でそれほど大きな変化は生じないだろう。だが、ここ1年の仮想通貨高騰は間違いなくマイニング需要の急拡大をもたらした。そしてこれは確実に半導体を巡る騒ぎの一部であり、半導体市場をいくらか逼迫(ひっぱく)させている。仮想通貨が値下がり局面に入れば、半導体製造に一定の余力が生じるだろう。ありがとう、マスクさん!

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