(ブルームバーグ): 数年ぶりの好成績となっているヘッジファンドが積極的にクレジットトレーダーを採用している。英バークレイズや米ゴールドマン・サックス・グループ、英HSBCホールディングスなどはこのところ人材流出に見舞われ、バークレイズは昇進と報酬を約束することで引き留めを図っている。

  人材紹介を手掛ける英ケネディ・グループのジェーソン・ケネディ最高経営責任者(CEO)はインタビューで、人材獲得競争では「最も高額な報酬を提示した者が勝者だ。忠誠心は残されていない」と述べた。

  ウォール街でトレーディング担当者の転職が春に活発になるのは目新しいことではない。ただ今年は、企業クレジットの世界で活躍している花形トレーダーが特に引く手あまたという。投資銀行各行は2020年にトレーディング収入を大きく伸ばしたが、他事業の低迷で報酬を抑えたことが離職者を増やす要因になった。

  新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に成績が割れたヘッジファンド業界では、外部の専門知識から恩恵を得る新戦略で利益押し上げを図っており、ケネディCEOによれば、同業界は「クレジット分野を狙っている」。そのため、転職市場が大きく動いているという。

  ニューヨークおよび世界中で業務再編を進めるHSBCでは、米国部門の多くのシニアトレーダーが最近数カ月間に退職。クレジットデスクから少なくとも10人が去り、広報担当者は積極的な採用を行っていると述べていた。

HSBCのシニアトレーダー退職続く−米州株式、クレジット責任者も

  バークレイズでもシニアクレジットトレーダーの退社が相次ぎ、一部行員に昇進と将来の報酬に関する保証を与えた。ただ、同行トップから聞こえるトーンはコストに関して慎重だ。ジェス・ステーリーCEOは1−3月(第1四半期)に同行全体で増やしたボーナス(賞与)について、この支出は「非常にコントロールが容易な数字だ。業績が悪化すれば再び減らせる」と語った。

バークレイズ、クレジットトレーダーの退社相次ぐ−ボーナスに不満

  ゴールドマンの欧州マクロクレジットトレーディング責任者ジャスディープ・シン・アネジャ氏はヘッジファンドのミレニアム・マネジメントに移籍する。

  ウォール街の報酬コンサルティング会社ジョンソン・アソシエーツのマネジングディレクター、アラン・ジョンソン氏は「ヘッジファンドはホットで、数カ月にわたり好調で、莫大(ばくだい)な資金を得た」と説明。「トレーダーにとっては魅力的な転職先だ」と話した。

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