(ブルームバーグ): 債券利回りやインフレ期待が急上昇している中、ウォール街の株式ストラテジストの間で楽観論が広がっているのは奇妙に見受けられるかもしれない。

  しかし、これがまさに現実に起きている。その要因を見れば、先週の米国株の下げが抑えの利かないような事態に至らなかった理由が分かる。S&P500種株価指数は12日までの3日間の下げが昨年10月以来最大となったものの、13日と14日は上昇した。

  気付きにくかったが、株式ストラテジストは相場が低迷していた間、S&P500種を構成する企業の利益予想を上方修正していた。その結果、分析手法がトップダウン式であるストラテジストの予想が、個別銘柄を調査するアナリストの予測と整合するようになった。

  ストラテジストの分析が日々の株価の動きに特に大きな影響を与えるとは誰も考えないが、1年余りにわたって株価を支えてきた力学が示されている。つまり、インフレ懸念や一貫性に欠けるデータと並行する形で、企業利益の目に見えないほど緩やかな改善が進んでいることだ。これが売り優勢の市場で相場を引き続き下支えしている。

  トゥルーイスト・アドバイザリー・サービシズのチーフ市場ストラテジスト、キース・ラーナー氏は「経済がかなり堅調で利益予想引き上げがなお盛んに進む状況で、相場の大幅な調整は見込みにくいだろう」とし、「これは相場下振れの緩衝材のようなもので、先週の市場がまさにそうだった」と語った。

  ウォール街は米企業の耐性を徐々にだが認めざるを得なかった。企業利益は新型コロナウイルスの最初のロックダウン(都市封鎖)時に懸念されたほど落ち込まず、今は予想を上回るペースで持ち直している。その結果、数年かかると考えられていた利益回復は今年6月までのわずか5四半期で実現する方向だ。

  5週間前に決算シーズンが始まった時、S&P500種構成企業の2021年1株利益のアナリスト予想は174ドルだった。ほぼ全ての企業の四半期決算が市場予想を上回った後、通期予想は5.7%引き上げられて1株183.90ドルとなった。ブルームバーグが統計を取り始めた12年以降では、トランプ前政権の減税が影響した18年に次ぐ2番目に速い上方修正ペースだ。

  ストラテジスト予想の軌道も同様のパターンを示した。利益予想はこの1カ月に約4%上方修正されて1株185ドルとなった。

  ただコンセンサスはここまでだ。今度の相場の方向性に関してはストラテジストとアナリストの間でかなり隔たりがある。

  ブルームバーグが追跡するストラテジストはS&P500種が1年2カ月でほぼ2倍に上昇したことを踏まえ、顧客に注意を促している。目標の上方修正が相次いでいるが、21年の同指数のターゲットは平均4199と、14日の終値から0.1%以内だ。言い換えれば、上昇の余地はほとんどない。

  一方、アナリストははるかに強気だ。目標株価の合算に基づくと、S&P500種は現時点からさらに11%上昇すると見込んでいる。この時期の乖離(かいり)幅としては04年以降のブルームバーグのデータで2番目に大きい。

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