(ブルームバーグ): 今週の米株式市場で「ミーム銘柄」の急騰を招いたのは投機を手掛ける投資家だったかもしれないが、仮想通貨市場では地に足を着ける動きが幅広く見られる。

  ビットコインはピーク時を約40%下回っているが、ヘッジが増えており、値上がりを見込む取引の需要は限定的だ。5000億ドル(約55兆円)規模の相場急落が先月起きるまで強気の熱狂状態にあったデイトレーダーには、珍しく自制の時期となっている。

  別の見方をすると、レバレッジで膨らんだ市場の行き過ぎが解消されつつあるのだろう。デジタル資産投資会社ストリックス・レビアサンのニコ・コルデイロ最高投資責任者(CIO)は、「価格とシナリオが仮想通貨市場のファンダメンタルズだが、今はどちらも揺らいでいる」と述べた。

  ビットコインの先物とスポットの価格差を見れば分かる。4月に熱狂がピークに達した際、プレミアムは年率50%に達し、投資家は単純な裁定取引で大きな利益を確保できた。

  データ提供のスキューによれば、今はわずか9%だ。現在はコインベース・グローバル傘下となっているスキューは、仮想通貨交換業者バイナンスで取引される3カ月物の動向を追った。

  デリバティブ(金融派生商品)の取引量は通常、大半の日でスポット取引を上回る。売買が容易でしばしば100倍にもなるレバレッジが可能な手段を用いる投機への強い需要が背景にあり、これは強気派はほぼ常に弱気派を上回っている状況を意味する。

  だが今は仮想通貨への確信が弱まっている。米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)によるビットコインへの支持が揺らいでいるほか、中国と米国は規制を強化している。ここ2週間ほど、ビットコインの価格は4万ドル前後で推移し、上下どちらかに大きく振れることができないでいる。

  リテール投資家の買い持ち(ロング)需要は全般的に消えつつある。ビットメックスなどの仮想通貨交換プラットフォーム上での先物・スポットのスプレッドは縮小し、機関投資家中心の米CMEでの水準に近づきつつある。

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