(ブルームバーグ): ソフトバンクグループが取引銀行団に総額75億ドル(約8200億円)の融資を打診したことが分かった。国内外の銀行の参加を見込んだシンジケートローン(協調融資)形式で、アレンジャーにみずほ銀行を選定した。事情に詳しい複数の関係者が8日までに明らかにした。

  複数の関係者によると、ソフトバンクGは調達資金を人工知能(AI)関連企業に投資するビジョン・ファンドに充てる。みずほ銀のほか、三井住友銀行や三菱UFJ銀行など3メガバンク、海外の銀行にも参加を打診している。融資の返済原資には傘下の半導体設計子会社、英アームの売却資金を充当する計画だ。

  ソフトバンクGは昨年9月、ビジョン・ファンドと共に保有するアームの全株式をコンピューター・グラフィックス用半導体最大手の米エヌビディアに400億ドルで売却すると発表した。英国や欧州連合(EU)、中国、米国の規制当局の承認が必要なため、取引完了は2022年3月ごろの見込みとしていたが、今年4月に英当局が国家安全保障上の懸念を理由に介入する方針を表明した。

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  エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は2日、アーム買収について中国などの国で政府の承認を得られると引き続き確信していると述べた。

  取引完了に伴う資金の獲得には時間がかかるため、ソフトバンクGでは将来のアーム売却資金を担保に銀行から融資を受け、当面の投資資金に充てたい考えだ。関係者によると、早ければ6月中にもシンジケートローンを組成し、融資を実行する。

  ただし、一部の銀行はアーム売却の実現性に懸念があるとみているほか、投資事業はリスクが高いとして慎重姿勢もあるため、ソフトバンクGの想定通りに75億ドルが集まるかどうか不透明な部分も残っている。

  ブルームバーグの取材に対しソフトバンクGの広報担当者は、シンジケートローンの打診についてコメントを控えると回答した。

  みずほ銀の広報担当者も、個別取引についてはコメントは差し控えると回答。三菱UFJ銀の広報担当者は、融資の打診が来ているのは事実だが、詳細についてはコメントを差し控えると述べた。三井住友銀の広報担当者は、コメントは差し控えるとしている。

  ソフトバンクGは株式相場の急落でファンド事業の業績悪化に見舞われた昨年3月、自社株買いや負債削減に充てる4兆5000億円の資産売却プログラムを発表。TモバイルUSや国内通信子会社のソフトバンク株の一部売却などで最終的には5兆6000億円を資金化し、シニアローンやコミットメントラインによる借入金を返済するなど21年3月期末までに1兆円の負債を削減した。

(ソフトバンクGの広報の反応を追記して記事を更新します)

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