(ブルームバーグ): SMBC日興証券で高付加価値の投資助言サービスを担う組織「チーフ・インベストメント・オフィス(CIO)」が、今年度から本格的に始動した。4月から投資の専門家で構成するCIOが作成した投資戦略を全営業店で共有する態勢を整えており、プロの提案を元にそれぞれの顧客の要望に沿った形で運用モデルを提供し、他社との差別化を図る。

  資産運用サービスの高度化を巡っては、野村ホールディングスが昨年7月にCIOグループを新設し、機関投資家向けの高度なサービスをリテール向けに提供する取り組みを開始。大和証券グループ本社も今年度中にCIO専門組織を立ち上げる。どちらもまずは富裕層を念頭に置く。一方、SMBC日興はリテール顧客全体を対象とし、気軽に利用してもらう戦略で提案力の底上げを目指す。

  CIOの責任者を務める竹山悟史氏(54)はブルームバーグとのインタビューで「われわれの運用力、調査力で差別化していきたい」と語った。CIOは準備室を格上げして3月に発足。4月から毎月、株式や債券、それ以外の資産であるオルタナティブの配分例をリスク許容度ごとに示したモデルポートフォリオなどを提案するCIOリポートを作成し、社内システムを通じて全支店に利用を呼び掛けている。

  調査担当は現在7人で、外部人材を中心に構成した。竹山氏は米ヘッジファンドのミレニアム・マネジメント東京支店の出身。こうした運用会社は一般的に、既存商品の販売を行う証券会社と違って運用成績が自社の業績に直結するため、損失を抑える長期運用が得意とされる。「バイサイドで培った経験が生かせる」と話す。

  そのほか、日本銀行出身のエコノミストや元外資系ファンドマネジャーなど多様な専門家が集まった。現在、調査担当を含め13人の人員を今後1、2年で倍増させたい意向だ。CIOとしての会社の公式な投資見解である「ハウスビュー」を積極的に発信していく。

  実際に投資商品を販売する営業現場から独立した投資見解とするため、モデルポートフォリオの構成資産は「先進国債券」「日本株式」などの分類のみで、具体的な銘柄などは紹介しない。また、外部有識者3人に助言をもらう仕組みも作った。

  有識者は元銀行アナリストの野崎浩成・東洋大学教授、行動経済学が専門の真壁昭夫・法政大学教授、SDGインパクトジャパンの小木曽麻里最高経営責任者(CEO)。投資に対して慎重な顧客も多いことから、行動経済学の観点から投資に対する心構えを解説してもらったり、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の視点から投資の社会的意義を考える問題提起をしてもらったりして、CIOの見解に反映させる。

  竹山氏は「資産運用を浸透、定着させる存在を目指したい」と抱負を語った。

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