(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は、新型コロナウイルス禍後に低インフレが続く場合は市民に直接資金をばらまく「ヘリコプターマネー」の採用を検討するべきだと、フランス首相府の諮問機関が主張した。

  無党派の経済分析評議会(CAE)は、ECBはマイナス金利と量的緩和(QE)、銀行への低利融資にもかかわらず2015年以降、持続的にインフレ目標を達成したことがないと指摘。さらに、これらの措置が格差やECBの政府からの独立性に与えた影響を問い掛けた。

  CAEの研究者らは提言文書でヘリコプターマネーについて、「金融政策にこの手段を加えることで、副作用の恐れがある資産購入プログラムを永久に拡大し続けるのを防げる。新型コロナ危機終息を巡る不透明を踏まえ、この万が一に備えた戦略を公衆衛生の制約がなくなった時点で判断するべきだと考える」としている。

  ECBは2つの主要な債券購入プログラムで4兆ユーロ(約530兆円)余りを費やしたほか、中銀預金金利をマイナス0.5%とし、低金利での長期貸し付けによって事実上銀行を支援してきた。始まったばかりの景気回復がインフレ率をECBの目標をわずかに上回る2%に押し上げたが、当局者らは再び低下するとの見通しを示している。

  CAEは、ヘリコプターマネーについては議論があることを認め、「最後の手段」であるべきだとした上で、その効果を検証した。

  それによると、域内総生産の1%に相当する額を個人に給付した場合、1年間でインフレ率を0.5ポイント押し上げると推計される。これは市民1人当たり385ユーロとなり、米政府が今年の経済対策で実施した個人給付よりはるかに少額だという。

  個人給付はインフレが目標に達するまで繰り返すことができ、公債管理に影響する債券購入に比べて終了させるのが容易だともCAEは指摘している。

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