(ブルームバーグ): 中国の習近平国家主席は米国による制裁の克服に向けて国内半導体メーカーを支援する施策を巡り、最側近の1人である劉鶴副首相を責任者に充てる。テクノロジーの自足を実現する取り組みを刷新する。

  事情に詳しい複数の関係者によると、劉副首相はいわゆる「第3世代半導体」の開発と能力の育成を指揮し、同技術向けの資金面ならびに政策面の支援策定を主導する。

  第3世代半導体は従来のシリコンとは異なる窒化ガリウムや炭化ケイ素など比較的新しい材料や装置に頼る分野であり、支配的な地位を確立した企業や国はまだない。このため、中国にとっては米国やその同盟国による制裁をかいくぐる有望な機会の1つとなる。

  トランプ前政権が発動した制裁によって華為技術(ファーウェイ)のスマートフォン事業がすでに大きな影響を受けたほか、ファーウェイ傘下の海思半導体(ハイシリコン)や中芯国際集成電路製造(SMIC)など半導体メーカーによるウエハー製造技術の高度化に向けた長期の取り組みも妨げられそうで、テクノロジーを巡る中国の野心が脅かされている。

  調査会社ICワイズの顧文軍チーフアナリストは、「中国は世界最大の半導体使用国であり、サプライチェーン安全保障の優先順位は高い」と指摘。「いかなる国もサプライチェーン全体をコントロールすることはできないが、1カ国の取り組みは1企業がやるよりも強力であることは確かだ」と述べた。

日米韓も

  日本や米国、韓国が自国の半導体産業の強化に乗り出しており、中国にとっても今回の取り組みの重要性は高く、習主席が最も信頼を寄せる1人である劉副首相が関与することになったことでもそれは裏付けられている。

  関係者の1人によると、劉氏は自前の半導体設計ソフトウエアや極端紫外線リソグラフィーの開発を含め、従来の半導体製造で打開につながる可能性があるプロジェクトも監督する。メディアに話す権限がないとして匿名を条件に明かした。

  国務院と工業情報省にファクスでコメントを求めたが、返答はなかった。

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