(ブルームバーグ):

カスケード・インベストメントのマイケル・ラーソン最高投資責任者(CIO)は過去30年近く、1つの最優先事項を念頭に世界最大級の資産を静かに運用してきた。その最優先事項とは、巨万の富を持つ自身のボス、ビル・ゲイツ氏とメリンダ・フレンチ・ゲイツ氏が新聞の見出しに載らないよう注意することだ。

  保守的な投資や何の変哲もないオフィス、カスケード・インベストメントというごく一般的な会社名はいずれも、両氏を批判から守りつつ、一見地味ながらも安定した収益を上げるために周到に考えられたものだった。  

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  しかし、先月のゲイツ夫妻の離婚発表で、その作り上げられたイメージにはひびが入った。好ましくない情報が漏れ出し、その中にはラーソン氏がハラスメント行為をし、一部の従業員をいじめていたとの報道もある。

  裏切りや不和などのうわさが渦巻く中で、ゲイツ家を巡り一貫して地味に進んでいたことが1つある。実際の資産運用だ。

  ブルームバーグ・ニュースの推計では、ラーソン氏の管理下にあるポートフォリオの価値は約1700億ドル(約18兆7500億円)に上る。財務報告書や事情に詳しい関係者の話によると、その投資ポートフォリオのリターンは長年にわたり、より広範な株式市場を約1ポイント上回る程度だった。

  ラーソン氏の仕事の一部は、ビル・ゲイツ氏が厳しい視線にさらされかねない大胆な行動を取ることではなく、世界的な課題の解決に尽力する真面目な億万長者というゲイツ氏のイメージを守るのに一役買うことだった。

  ファミリーオフィス関連の人材紹介会社アグレウス・グループの共同創業者、タヤブ・モハメド氏は「こうした人たちの一部が話題になるのを避けるために支払う代償は大きい」と述べた。

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