(ブルームバーグ): 日産自動車が22日に開催した株主総会ではカルロス・ゴーン元会長の逮捕や関連する裁判についての質問が相次いだ。同氏の逮捕から2年半以上が経過しても、日産の経営混乱の引き金となった事件への株主の関心が依然として高いことを浮き彫りにした。

  日産の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は横浜市の本社で開かれた定時株主総会で、ゴーン被告の解任に至る経緯に関する一部報道を基に株主の1人が、日産が検察と経済産業省を巻き込んだ陰謀ではなかったのかと質したのに対し、「陰謀論などは事実ではない」と否定した上で、係争中のため詳細は控えると語った。同社取締役の永井素夫監査委員長も同報道内容は事実ではないと述べた。

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  そのほか、日産がゴーン元会長に対し約100億円の損害賠償を求めた訴訟や、元会長の報酬隠しに関与したとして金融商品取引法違反の罪で起訴された日産元代表取締役、グレッグ・ケリー被告の裁判についても株主から意見や質問が出た。

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  ゴーン元会長が2018年11月に逮捕されてから約1年後に社長に就任した内田氏は昨年2月の臨時株主総会では業績改善に自らの首を賭けると宣言した。しかし、その後新型コロナウイルス感染の急拡大や世界的な半導体不足など想定外の事態に見舞われている。今期(2022年3月期)の営業損益は収支トントンとなる見通しで、コロナ禍前の水準を上回る利益を見込むトヨタ自動車に比べ株価も伸び悩んでいる。

  内田社長は日産はまだ再建途上にあり、「業績は競合に対して大きく水をあけられている」と語った。一方で、5月の決算発表段階では半導体の供給不足や原材料価格の高騰など不透明要因のリスクを考慮して通期の営業利益見通しを立てたが、4ー5月の実績は計画を上回って推移しており「既に回復の兆しが見えている」との見方を示した。

  新型コロナの影響で日産は昨年に続き今回も株主に対し来場の自粛を呼びかけ、総会の様子はオンラインでも中継した。日産によると、来場株主は186人で前回の295人から減少した。所要時間は1時間47分(前回1時間51分)だった。

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