(ブルームバーグ): 米資産運用会社グランサム・マヨ・バン・オッタールー(GMO)の共同創業者ジェレミー・グランサム氏によると、株式市場の投資家は「史上最大の米ファンタジートリップ(幻覚体験)」を目にしている。米金融当局の無知や迅速な刺激策、新型コロナウイルスワクチン接種の予想外の成功がこうした状況をもたらしているとの見方を明らかにした。

  ピークから底まで35%下落した前回の株式相場の大崩れから1年余り経過したが、株価はその後史上最速の回復を遂げた。

  グランサム氏は「コロナの相場クラッシュは古典的な長期強気相場の終わり方とはかなり異なる」と指摘。1987年の「ブラックマンデー」後にS&P500種株価指数が暴落前の水準を回復するのに2年かかったが、今回は5カ月だった。

  バブルの兆候は今や至る所にある。債務や信用取引のさまざまな指標がピーク水準にあるほか、売買高は強気センチメントを示し、コールオプションや店頭市場の低位株の出来高は記録的な水準にある。

  グランサム氏は「過去1年間は、11年に及ぶ強気相場の古典的なフィナーレだった。投機的なピークの必須条件を全てチェックすると、米国市場は歴史的にみて今年1月より後はいつ崩れてもおかしくなかった」と分析した。債券と株式、不動産市場が同時に値上がりし、商品相場さえ大幅上昇しているため、特に今は危険だという。

  「そのような組み合わせが起きた例は、これまでどこにもない。最も近いのは1989年の日本で見られたものだ。経済への影響は悲惨であり、土地も株もまだ89年のピークに戻っていない」と同氏は主張した。

  強気派がさらなる上昇余地の根拠に挙げている流動性について、グランサム氏はM2の伸び率は非常に高いものの、ここ数週間で前年同期比約18%から12%に低下し、かつてないペースで鈍化していると反論した。

  バブルに関する歴史の専門家であるグランサム氏は、ビットコインがドット・コム・バブルのピーク時のナスダックに最も似ている資産だとした上で、当時ナスダック総合指数が半値となったのは「6カ月前からの幅広い市場に対する全くの警告ショット」だったと振り返った。

  グランサム氏は「単に面白いからという理由で、投資ないしギャンブルを行う価値があるといった考え方に基づくミーム投資が、当たり前に行われるようになっている。本物の投資の全く虚無的なパロディーだ。これこそ史上最大の米国のファンタジートリップだ」との認識を示した。

  同氏はESG(環境・社会・企業統治)戦略にもバブルの要素があると認めながらも、政府の支援や企業の認識の高まりを背景に堅実な長期投資になっていると述べた。

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