(ブルームバーグ): クリーンエネルギーの導入拡大に向けた日本の野心的な新計画が、液化天然ガス(LNG)市場を揺るがしている。

  世界最大のLNG輸入国である日本は先週公表した「エネルギー基本計画」の素案で、2030年度の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を現行目標から引き上げる方針を示した。ガス火力発電をこの10年で半分程度に減らすことが狙いで、日本の電力会社だけでなく、カタールやオーストラリア、米国などの供給業者に動揺をもたらした。

再エネ比率を36−38%に拡大、原子力は現行目標を維持−経産省素案

  トレーダーやアナリストによると、新たな指針に基づけば、日本のLNG輸入は20年代末までに現在の3分の2に減少する見通しだ。これにより、国内の電力会社は長期のLNG契約を断念せざるを得なくなり、より変動の激しいスポット市場への依存度が高まることになる。

  クレディ・スイス・グループのエネルギーアナリスト、ソール・カボニック氏は「日本のLNGの買い手は30年以降の長期契約を結ぶ意欲がさらに減退するほか、需要が目標を上回った場合に短期的な価格変動の影響を一層受けやすくなる可能性がある」と指摘した。

  今回の方針は、世界の供給業者にとって驚きとなった。天然ガスはかつて環境に優しい未来への架け橋と広く見なされていたが、今では人気に陰りが見える。各国が気候変動のペースを遅くする取り組みを強化しているほか、再生可能エネルギーのコストが大幅に低下したためだ。日本は最近まで、石炭の代替燃料としてよりクリーンなLNGを選好していた。

  日本が新たな目標を達成できるかどうかは不透明だ。ガス火力発電の半減を補うにはほぼ全ての原子炉を再稼働させる必要があるが、地元住民の強い反対を考えると実現は困難だ。不確実性を背景に、日本勢はスポット市場に飛び込むか、短期契約を結ばざるを得なくなるだろう。現時点で、短期契約が輸入全体に占める割合は30%にすぎず、世界平均の40%を下回っている。

  長期的なLNG契約を選好する日本勢が、1960年代以降の業界をけん引してきた。 20年を超える長期契約は新たなLNG輸出プロジェクトの柱であり、それがなければ開発業者が銀行や投資家からターミナルの新設や拡張のための資金的支援を得るのは難しくなる。

  これは積極的に生産を拡大しているカタールのほか、米国やパプアニューギニアなどが提案しているプロジェクトにとっても悪いニュースだ。

  人口減少とエネルギー効率の向上でLNG需要は過去10年間に既にピークに達し、日本企業は10年未満の短期契約を目指している。ただ、政府の新たな目標は需要が予想以上に減少することを意味し、電力各社はLNGポートフォリオの再調整の取り組みを加速することが必要になる。

  30年度の目標が達成されれば、日本のLNG需要は2500万トン近く減少する可能性があるとブルームバーグNEFのアナリスト、オリンプ・マッティ氏は試算。国際LNG輸入者協会(GIIGNL)によると、日本の昨年のLNG輸入は7440万トンだった。

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