(ブルームバーグ): インフレが経済に打撃を与えつつあるとの不安が、ホワイトハウス、消費者統計、企業決算のオンライン会見など、至る所にまん延している。だが、物価上昇は「一時的」というパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の主張を真剣に受け止める株式市場と債券市場だけは例外だ。

  米国の6月の消費者物価指数(CPI)は全体の前年同月比上昇率が過去10年余りで最も高い伸びとなったが、10年国債とインフレ連動債(TIPS)との利回り格差であり、インフレ期待を反映するブレークイーブン・レートはそれでも過去1カ月ほとんど動きがない。

  一方、物価圧力の高まりに脆弱(ぜいじゃく)と考えられる巨大IT銘柄は、インフレ環境下で通常比較的好調な循環株をアウトパフォームする状況だ。

  経済的な苦労がリアルタイムで企業を妨げる一方、これにも必ず終わりが来るとの前提で市場は平静を保っている。数十年に一度の深刻なリセッション(景気後退)に動じなかった投資家にとって、これまでのところそれは必勝戦略だが、直近のストレス発生にもかかわらず綱渡りを繰り返す決意のようだ。

  プリンシパル・グローバル・インベスターズのチーフストラテジスト、シーマ・シャー氏は「実に大きなねじれが、決算シーズンが進むにつれ、よりはっきりしてきた。ビジネスがまさに影響を受ける状況で、企業には現在のコスト圧力を見て見ぬふりする余裕がない」と指摘した。

  7月に決算発表を終えたS&P500種株価指数の構成企業のうち約87%が、先週までにオンライン会見でインフレに言及。生計費上昇への米国民の懸念の高まりを背景に7月の米ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は、全てのアナリストの予想を下回った。さらにホワイトハウスは共和党からの攻撃をかわすため、インフレ動向を説明する際の表現を変えると伝えられた。

  ブリークリー・ファイナンシャル・グループの最高投資責任者(CIO)のピーター・ブックバー氏は「大部分の人々はそれが一時的か、少なくとも米連邦準備制度が全てを把握しているのではと思っているようだが、私の考えではどちらも間違いだ。トレンドを優に上回るインフレ傾向がCPI統計に反映される状況がさらに数カ月続けば、彼らは再び心配になるだろう。こうしたインフレへの驚くほどの無関心が市場に存在するが、すぐに新たな警鐘が鳴ると思う」と主張した。

  

Peter Boockvar, chief investment officer for Bleakley Advisory Group: “Most people feel it’s transitory or at least the Fed is on top of things. Both are wrong I believe,” he said. “If we see a few more months of well above-trend inflation in the CPI stats, they will get worried again. There is this amazing nonchalance on inflation in markets, and I think there will be another wakeup call soon.”

Michael O’Rourke, chief market strategist at JonesTrading: “The reason a market-based indicator like breakevens doesn’t exhibit the same inflation fears as consumers and companies is that it when it comes to Treasuries, the Federal Reserve is the market,” he said. “It is dangerous to look at the Treasury market as an indicator of market-based pricing of inflation and economic sentiment when the Federal Reserve is purchasing approximately $1 trillion of Treasuries a year and holds nearly 20% of the nation’s outstanding debt.”

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