(ブルームバーグ): 日産自動車は28日、今期(2022年3月期)の営業利益が1500億円と3期ぶりに黒字転換する見通しだと発表した。市場予想を上回った。当初は収支とんとんを想定していたが、米国を中心に業績が好調だったほか、為替要因も寄与して従来見通しを修正した。

  日産の決算資料によると、第1四半期(4−6月期)の営業損益は757億円の黒字だった。日産の世界販売台数は、新型コロナウイルスの感染拡大で市場が落ち込んだ前年同期比で63%増と、市場全体の伸びとほぼ同じレベルの成長を実現。特に「ローグ」や「シルフィ」など新型車の効果で市場規模が大きい中国と北米で約7割の大幅増となった。

  地域別では北米の営業利益が1098億円と前年同期の258億円の赤字から大幅に改善。日本を除くアジアでは206億円と2倍以上の伸びとなった。今期の世界販売台数は従来見通しの440万台を据え置いた。

  カルロス・ゴーン元会長が2018年に会社法違反(特別背任)の罪などで起訴されて以降、日産の業績は低迷。直近の2期連続で営業赤字を続けていた。

  修正後の今期営業利益率は1.5%を超える。内田誠社長兼CEO(最高経営責任者)は同日のオンライン会見で、この数字は23年度までの中期計画で掲げた中国合弁会社比例連結ベースでの営業利益率2%以上に相当するとし、同目標は達成できるとの見通しを示した。

  想定為替レートを1ドル108.4円(従来105円)、1ユーロ129円(同120.8円)といずれも円安方向に見直し、通期では従来の見通しと比べて営業利益ベースで800億円の増益要因となる。業績面の改善でも1050億円の利益の押し上げ効果を見込むが、原材料価格の高騰リスクとして350億円の減益要因を織り込んだ。

半導体不足は2Qに一番影響

  日産が約34%の株式を保有する三菱自動車工業は27日に決算を発表。費用抑制の効果や為替の影響で今期の営業利益見通しを400億円に従来予想の300億円から上方修正していた。

  日産と競合するトヨタ自動車も今期の営業利益はコロナ禍前を上回る水準を見込むほか、半導体不足による生産への影響では限定的な規模にとどまっている。トヨタの株価が今年約2割上昇したのに対し、日産は株価は年初からほぼ横ばいの水準にとどまっている。

  自動車業界のリスク要因となっている半導体の供給不足について内田社長は、第2四半期(7−9月期)に「一番影響が出る」と指摘。「在庫数値レベルも下がっているのでうまくマネージメントして下期に挽回」したいとし、同問題による通期の生産影響についての見通しは現時点で変更しないとの考えを示した。

(決算の詳細や日産幹部の会見でのコメントなどを追加して更新しました)

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