(ブルームバーグ): ANAホールディングス(HD)傘下の全日空商事がインターネットのオークションサイトに出品した国際線ファーストクラスの座席が26日、約380万円で落札された。希少性の高い品に航空ファンなどが飛びつき、同社の予想を超える価格での落札となった。

  全日空商事が出品していたのは「モックアップシート」と呼ばれる技術検証や展示などに使われる座席模型で、機能面は実機に搭載されている物とほぼ同じ。21日からZホールディングス傘下のヤフーが運営するオークションサイトに出品されていた座席には入札終了までの間に356件の入札があった。同じく同社が出品していた国際線航空機の窓は約46万円で落札された。

  コロナ禍による旅客需要の低迷が長期化する中、航空各社は機内食の販売やデリバリー、遊休機材を活用した遊覧飛行など業績改善に向けたさまざまな取り組みを進めている。航空機部品の販売では、オーストラリアのカンタス航空が8月、マイレージ会員向けにビジネスクラスの座席などをオークションに出品したほか、全日空商事が4月から退役機の操縦かんなどを抽選販売した。

  全日空商事の新規事業開発チームの田村譲マネジャーは入札開始前の17日、コロナ禍で客との接点が減少する中、ANAグループに改めて関心を持ってもらいつつ、入札過程などで「ワクワク感」を感じてもらうことが今回の企画の狙いだと記者団に対して語った。

  同氏は今回出品した座席の落札価格の目安について、欧米路線のファーストクラスの往復航空券と同水準の約200万ー300万円と話していた。その上で「会社の黒字化に少しでも寄与できればという思いはある」と述べ、月1回程度の頻度で数点の一点ものの航空機部品などを今後も継続して出品していきたいとの考えを示した。

  世界的に航空需要が急減したことが響いて前期(2021年3月期)に4648億円の営業赤字を計上したANAHDは今期(22年3月期)に黒字転換する見通しを示している。緊急事態宣言の延長などにより需要回復は遅れており、ブルームバーグが集計したアナリスト11人の今期の営業損益の予想平均値は1049億円の赤字となっている。

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