(ブルームバーグ):

衆院選が19日公示され、31日投開票に向けた選挙戦が始まる。経済政策では、新型コロナウイルスの影響が沈静化しない中で、与野党ともに現金給付や減税など「分配」政策を競い合うが、財源の議論は深まらないままだ。

  「大型の経済対策を用意する」。岸田文雄首相は18日の党首討論会で、選挙後の新型コロナウイルス対応として明言した。公約では、企業の積極的な賃上げや研究開発・生産拠点の国内回帰を促す税制支援も盛り込んだ。

  ただ財源については「今の段階で消費税に触ることを考えるべきではない」としたほか、法人税の引き上げにも慎重姿勢を示した。持論の「成長と分配の好循環」を具体化する「新しい資本主義実現会議」は、選挙期間中に初会合を開くが、当面の財源は国債発行が中心とならざるを得ない。

  立憲民主党の枝野幸男代表も公約で、時限的な経済対策として年収1000万円程度以下の所得税実質免除や消費税率の5%への引き下げを主張。「所得を再分配し安心をつくり、支え合う日本をつくっていく」と話した。

  与野党を問わず分配を強調する姿勢には、懸念の声も出ている。

  SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは18日付リポートで「分配を進めることに関しては皆賛成だが、無い袖は振れない」と指摘。低成長であれば「誰かから奪って誰かに付与する部分が必然的に多くなる」とした上で、「痛みまで含めて提示してこそ、国政選挙に出馬するものとして責任を果たしていると言えるだろう」との見解を示した。

  前回の2017年10月の衆院選で大勝した自民は議席を減らすものの、岸田首相が勝敗ラインとする与党で過半数獲得の可能性は高いとみられている。解散前は276議席で、衆院定数(465議席)の過半数(233議席)を大幅に超えていた。

  選挙コンサルタントの大濱崎卓真氏は18日、自民は小選挙区で高齢や不祥事のあった候補者を中心に情勢が厳しく、236議席との予想を公表した。SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは同日付のリポートで、254議席と予測。議席減は市場には「ややネガティブ」との見方を示した。 

  共同通信が16、17両日に実施した世論調査では、比例投票先は自民が29.6%で、立憲の9.7%を引き離している。岸田内閣の支持率は55.9%で、歴代政権の発足時と比べると低調だ。

 

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