(ブルームバーグ): 中国の不動産開発会社、花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)の創業者、曽潔(別名:曽宝宝)氏は曽慶紅元副国家主席の姪で、かつて毛沢東政権で内務相を務めた曽山氏の孫でもある。

  共産党高級幹部の子弟を指す「太子党」の一員である曽氏(50)は、中国不動産セクター全体に波及しつつある混乱の中心人物として注目されている。

  同氏率いる花様年は今月に入り2億570万ドル(約235億円)相当の社債を償還できず、オフショア市場での劇的な売りを引き起こした。一部の投資家は多額の債務を抱える中国不動産業界の流動性危機が悪化する前兆と受け止めている。

  当局が不動産セクターの締め付けを強化する中、苦境に陥った不動産会社が受ける可能性のある支援について臆測が高まっているのは、曽氏の政治的バックグラウンドのせいもある。中国政府は3000億ドルの負債を抱える中国恒大集団を救済するつもりはないとほのめかしており、花様年のように強力なコネを持つ企業が破綻すれば、当局の厳しい姿勢が浮き彫りになる。

  曽氏の前途は多難だ。政治的なつながりを持つ花様年への対応で、行き過ぎた融資の抑制に取り組む政府の本気度が試される可能性がある。

  GMTリサーチのアナリスト、ナイジェル・スティーブンソン氏(香港在勤)は銀行や他の貸し手がさらに慎重になるにつれ、オンショア市場での資金調達はもっと難しくなると予想。「より規模の小さい不動産開発業者は十分なコネがあっても、不相応に影響を受けるだろう」と語った。

  花様年はアドバイザーを起用し、解決策を探っていると明らかにしている。

  皮肉なことに、習近平国家主席が推進する「共同富裕」政策と貧富の差を縮める取り組みを踏まえれば、中国政府は支援の手を伸ばそうとした場合、曽氏一族の高い知名度によって世間から不評を買う可能性がある。

  中国政治に関する多くの書籍を執筆した香港中文大学中国研究センターのウィリー・ラム非常勤教授は「中国恒大など多くの大企業や花様年のような太子党絡みの企業に影響を与える不動産業界への締め付けは、共同富裕という毛沢東的思想の理想への回帰を目指す習氏の取り組みと見なすことができる。政治的保護を享受してきたこれらの企業は今や、習氏の新たな命令に従う以外に選択肢はない」と述べた。

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