(ブルームバーグ):

米下院歳入委員会のニール委員長は27日、富裕層「ビリオネア」の資産への課税案について、バイデン大統領の税制・支出法案の財源とする歳入増加策を巡る交渉の過程で検討から外されたと語った。大統領の経済施策を支える歳入案の議論は混迷が深まっている。

  同委員長は代わりに年収1000万ドル(約11億4000万円)超の富裕層に対し、最高税率に加え3%の付加税を課す案を下院は議論していると述べた。

  一方、この日午前にビリオネア資産への課税案の詳細を公表した提案者のワイデン上院財政委員長は、同案は廃案になっていないと発言。上院財政委が夜に行う同案の説明会に各上院議員はスタッフを出席させる予定だと述べた。ホワイトハウスはバイデン大統領がビリオネア税を支持すると説明していた。

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  ワイデン委員長は「『ビリオネアの納税額が今後もゼロないし少額であり続けても問題ないと思う』という趣旨に近い発言をした上院議員は一人もいない」とした上で、「われわれはメンバーと共に取り組みを続ける」と述べ、同案が外されたとしたニール委員長の発言を否定した。

  ワイデン、ニール両委員長の対立は、2兆ドル規模もの税制・支出法案の財源とする歳入増加策での民主党内合意の難しさを浮き彫りにした。原資確保の見通しが不透明化したことで、銀行口座情報開示の強化など他の歳入増加案の先行きも流動的になっている。

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  民主党穏健派のマンチン上院議員を含め、複数の同党議員は施行が煩雑になるなどの理由で、ビリオネア資産への課税案に懸念を示している。

  マンチン議員はこの日、富裕層が有する含み益を標的にしたワイデン委員長の案は「複雑」だと記者団に指摘。純資産の多い個人に幅広く課税するのではなく、多くの雇用を創出し慈善事業に寄付も行っている成功した事業主のみを標的にするのは望ましくないと語った。

  民主党のワーナー上院議員は、「富裕層に相応の負担をさせるという考えは極めて理にかなう」としつつ、「われわれが数年ごとにしか重要な税制に取り組まないのには理由がある。詳細を詰めて正しく適切なものにすることが重要だからだ」と述べた。

  マンチン議員は提案されている富裕層への増税ではなく、高所得者に対する15%の最低課税率を検討すべきだと指摘。同議員はこの税金を「愛国税」と呼んでいる。

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