(ブルームバーグ): 世界的な目標となっている炭素排出量の実質ゼロを今後30年で達成するためには、世界のサプライチェーンに推定100兆ドル(約1京1360兆円)を投資する必要があり、最大でその半分が中小企業の負担となる。英HBSCホールディングスとボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が28日発表の調査リポートで指摘した。

  同リポートは、「多くの組織が直接的な炭素排出について急速に対応を始めている。しかしサプライヤーからの排出や製品の使用・処分に伴う排出を含めた間接的な排出を減らす取り組みは不十分だ」と論じた。

  リポートによれば、世界の炭素排出量の80%近くをサプライチェーンが占めている。その中でも特に、非常に細分化されている繊維業界と、より集中的な自動車業界の2つに集中しているという。両分野は合わせて世界の国内総生産(GDP)の約5%を占めるが、それぞれのサプライチェーンの構成を踏まえると、炭素排出量の削減に向けた課題は異なる。

  リポートは「繊維業界では中小企業が対応できる余地は非常に大きい」と指摘。「対照的に自動車業界では、サプライヤーも含めた製造現場で変化の機会は相対的に少ない」とした。

  業界問わず企業の規模も重要だという。大企業には潤沢な資金などのリソースがある一方、中小企業では変化への抵抗が大きい可能性があり、「慣行を変えることに対しては硬直的」になり得ると同リポートは分析する。

  さらに「多くの中小企業は毎月の事業運営に必死で、全般的なサプライチェーン問題で身動きが取れなくなっている可能性もある。調査した中小企業の過半は、実質ゼロへの移行は経済的にプラスの影響が全くないか、もしくはマイナス影響があると感じている」と指摘した。

  HSBCは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う現在のサプライチェーン障害は今後1年から1年半で落ち着くと予想しており、気候変動問題への対応は長期的な取り組みになるとみている。

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