(ブルームバーグ): 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」は、世界経済がより力強い足取りで2022年入りするという楽観に水を差した。需要の弱さよりもインフレを政策の焦点としようとする当局の計画にも狂いが生じる可能性がある。

  渡航制限が導入されれば消費者信頼感も企業景況感も悪影響を受け、多くの国・地域でホリデーシーズンを目前に活動が抑制される可能性が高い。市場は直ちに反応し、26日には米・英・オーストラリアの今後1年の利上げ幅予想が少なくとも10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小した。

  次に何が起こるかはこの新変異株のワクチンへの耐性や感染力の強さに左右される。デルタ変異株は最近数カ月にわたり猛威を振るったが、経済をリセッション(景気後退)に押し戻すことはなかった。

  最悪のシナリオはロックダウン(都市封鎖)の再来だろう。これはサプライチェーンの混乱を悪化させるとともに、回復しつつある需要を軟化させ、スタグフレーション懸念を再浮上させる。

  一方、オミクロンが当初懸念されたほどの脅威でないことが分かれば、それほど厳しい結果にはならない。それでも、新変異株の出現は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が依然として世界経済への脅威であり、今後数年にわたりそうあり続ける可能性を再認識させる。

  ナティクシスのアジア太平洋チーフエコノミスト、アリシア・ガルシアエレロ氏は、「まだスタグフレーションになってはいないが、国境を超える移動の制限と関連のサプライチェーン混乱がさらに1年続けばそうなるかもしれない」と話した。

  20年の景気後退期ほどの影響はないとみるエコノミストもいる。野村ホールディングスのグローバルマーケットリサーチ責任者、 ロブ・スバラマン氏は、「企業や家計は制限やロックダウンに適応してきたため、今回の打撃はそれほど深刻ではないかもしれない」と述べた。

  政策当局にとっての困難は、昨年の景気刺激策によって選択肢が狭まっていることだ。昨年の景気後退後に金融政策を引き締めた中央銀行はほんの一握りであり、先進国・地域の主要な政策金利はゼロ付近にとどまっている。各国政府の債務負担は既に急増している。

  「経済の不確実性がさらに高まったことは確実で、22年の展開を予測する際エコノミストには大いなる謙虚さが必要だ。ここにきて、必要な謙虚さの度合いはさらに大きくなっている」とスバラマン氏は述べた。

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