(ブルームバーグ): 冬の到来が北半球に新型コロナウイルス感染の新たな波をもたらし、コロナ時代の安全な国ランキングに変動が生じている。追い打ちをかけるように新たな変異株「オミクロン株」が出現し、世界の経済再開の動きを逆転させる恐れも出てきた。

  オミクロン株はあいにくのタイミングで北半球を襲った。気温が下がり屋内で過ごす時間が増える季節に入り、感染者は増え、一部の地域で新たな制限が課されている。

  ブルームバーグが毎月まとめる世界で最も安全な国・地域の番付「COVIDレジリエンス(耐性)ランキング」で、数カ月にわたり上位を占めてきた欧州諸国は11月に後退し、アラブ首長国連邦(UAE)が1位に浮上した。

  ランキング開始以降、比較的安定した位置を保ってきたUAEでは、1日当たりの新規感染者が10月半ば以降100人未満を維持し死者はほぼゼロ。ワクチン接種率は国民100人に対して200回以上で世界最高の部類だ。

  11月の番付で順位を最も大きく下げた国のうち、8カ国が欧州に位置する。9、10両月に1位だったアイルランドは3段階下げて4位。欧州で初めて全国的ロックダウン(都市封鎖)を再導入したオーストリアは31ランク後退した。

  2位はチリで、3位はフィンランドだ。いずれも高いワクチン接種率を誇り、渡航者に対し門戸を開きつつある。季節が夏に向かっている南半球のチリでは特に、力強い景気回復が見込まれる。フィンランドでは他の欧州諸国と同様に感染が増えているものの、まだ比較的小規模にとどまっている。

  オミクロン株はこれらを変える可能性がある。感染が広がるペースや既存のワクチンの効果があるかどうかについてまだ分からないことは多いが、経済再開の取り組みを11月の最後の数日に頓挫させたり場合によって逆行させたことは確かだ。イスラエルと日本は海外からの外国人渡航者の受け入れを全面停止。アフリカ南部からの渡航を制限した国も多く、ランキングでのスコア低下につながった。

新変異株「オミクロン」、現時点で分かっていること−QuickTake

  COVID耐性ランキングは、どの国・地域が社会・経済への打撃を最小限に抑えながら最も効果的に対応できているかを示す月ごとのスナップショットだ。感染抑制や医療の質、ワクチン接種率、死亡率、渡航再開・国境閉鎖緩和の進展度合いなど12のデータ指標に基づいて、新型コロナに立ち向かう世界の53の国・地域を比較している。

ブルームバーグCOVID耐性ランキングの補足説明

  今のところはまだ、北半球の全ての国が冬の感染再拡大に見舞われているわけではない。米国はデルタ株の猛威が衰えつつあり、ワクチン接種済みの人に対する国境開放を進め、順位を13段階上げて13位となった。低い死亡率を維持した英国も13ランク上昇し12位。英政府はコロナ関連の制限がないクリスマスを国民に約束している。しかし、一部地域で感染は増える傾向にあるほか、特に米国はワクチン接種率の停滞に悩んでおり、人の移動に再び制限を設ける逆戻りのリスクが高まる。

  過去3カ月は、世界が2年にわたる停滞を経て経済再開および正常化へと強くかじを切った期間だ。インドは順位を19段階上げ26位と、今年に入ってデルタ株流行に苦しんで以来、初めて番付の上位半分の位置を回復した。ワクチン接種を条件に旅行者の受け入れも再開。国内のワクチン接種の進展が比較的遅いことは懸念材料だが、恐れられている第3波はまだ発生していない。

  東南アジア諸国は引き続き下位を占めている。最下位はフィリピンで、インドネシア、ベトナム、マレーシアと続く。フィリピンとインドネシアは国民100人に対するワクチン接種回数が100に満たず、番付の足かせとなっている。

  オミクロンの出現は、科学者や世界保健機関(WHO)が警告してきたワクチン不平等の結果を浮き彫りとすることになった。途上国・地域のワクチンへのアクセスと接種状況が改善しない限り、新たな変異株の出現は繰り返されるだろう。

  オミクロンを最初に確認し、その感染が最も速いペースで広がっているとみられる南アフリカ共和国は、他の国・地域がアクセスを閉ざし、順位を7段階下げた。感染者数や検査の陽性率も上向きで、ワクチン接種は100人に対し43回にすぎない。

  新型コロナを完全に抑え込む、いわゆる「ゼロコロナ」政策をかつて進めた国の順位は11月も低迷した。オーストラリア(33位)、ニュージーランド(36位)、シンガポール(37位)はいずれも徐々に国境を開き始めているが、世界の中でまだ出遅れている。国内での移動や外食などの活動もまだ制限されているケースもある。

  2021年の最終月へと向かう中、北半球の諸国が経済を疲弊させるロックダウンに逆戻りすることなく冬を乗り切れるかどうかが注視される。オミクロン株がパンデミック(世界的大流行)の時代へと時計の針を巻き戻すのか、それとも治療薬とブースター接種によってコロナ禍を永遠に脱する道が示されるのか。

  これらの問いが次回12月のランキングの焦点になる。

 

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