(ブルームバーグ):

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、新型コロナウイルスの「オミクロン株」について、物価安定と最大限の雇用の実現という金融当局の2つの責務にリスクを突き付けるとの認識を示した。上院銀行委員会で30日に行われる公聴会に先立ち、証言テキストを29日に事前発表した。議長が新たな変異株について公に発言するのは初めて。

  パウエル議長はその中で、「このところの新型コロナ新規感染の増加とオミクロン株の発生は雇用と経済活動に下振れリスクとなるとともに、インフレ動向を巡る不確実性の高まりをもたらした」と指摘。「ウイルスに関する懸念が強まれば、対面での勤務の意欲がそがれ、労働市場の前進を遅らせてサプライチェーンの混乱を深めることになる」と語った。

  比較的短い証言テキストの中でパウエル議長は、特定の金融政策運営や資産購入のテーパリング(段階的縮小)のペースを変更する可能性には言及しなかった。

  米東部時間30日午前10時(日本時間12月1日午前0時)からの上院銀行委公聴会でパウエル議長はイエレン財務長官と共に政府の新型コロナ経済対策について証言する。翌日には下院金融委員会の公聴会で両氏が証言する。

  議長は証言テキストで、今年に入ってからの雇用の力強い伸びにもかかわらず、「雇用と労働参加率の両面で最大限の雇用達成までにはまだ距離があり、前進は続くと見込んでいる」とコメント。失業問題は引き続き黒人とヒスパニック系に「偏って」生じていると付け加えた。

  このほか、「連邦準備制度を含むほとんどの経済予測担当者は、需給不均衡の解消に伴いインフレ率が来年にかけて大幅に鈍化すると引き続き予想している」とする一方、「供給制約の持続性や影響を予測するのは困難だが、インフレ率を押し上げている諸要因は来年まで長引くものと現時点では見受けられる」と論じた。

  一方、イエレン長官は上院銀行委公聴会のために準備した証言テキストで、オミクロン株に関連したニュースの把握に努めているとした上で、「現時点では米経済の回復は力強さを維持すると確信している」との考えを示した。

  長官はさらに、バイデン大統領の社会保障拡充策を盛り込んだ税制・支出法案の上院での可決を呼び掛けるとともに、連邦債務上限を議会が早急に引き上げる必要があると重ねて表明。債務上限を巡り「議会がこの問題に対処するのがどれほど重要か強調してもし過ぎることはない。さもなければ現在の回復は損なわれることになる」と警告した。

(イエレン財務長官の証言テキストの内容を追加して更新します)

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