(ブルームバーグ):

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」によって引き起こされる感染症は総じて症状が軽いという報告は、慎重に解釈する必要がある。報告には幅広い患者層にとっての重篤度が反映されていない可能性があるためだ。

  オミクロン株の存在を最初に指摘した南アフリカ医師会のアンジェリク・クッツェー会長によれば、倦怠感、頭痛、体の痛み、場合によってはのどの痛みとせきなどがオミクロン感染者の典型的な症状だ。心拍数の増加や血中酸素濃度低下、嗅覚・味覚障害というデルタ株の感染者とは異なるという。

  こうした説明には安堵(あんど)させられる一方で、一部の患者の症例にすぎず、オミクロン感染が広く世界に拡大した場合のリスクの片りんしか示していないかもしれない。症状を研究するには幅広い患者層を対象にオミクロンの病原性を調査する必要があると、公共衛生専門家は指摘する。

  専門家は以下のような理由でオミクロン感染症に関するこれまでの報告を慎重にみている。

現在の感染者は若者や低リスクグループが中心だが、感染が拡大すれば状況が変わり得るオミクロン感染者はまだ感染から日が浅いが、2週目以降に重篤な症状が出てくる可能性があるワクチン接種や過去の感染が現在の患者の重症化を防いでいる可能性があるが、こうした条件を満たさない人もいる

  世界保健機関(WHO)によれば、新型コロナウイルスに感染した人の約80%は軽症または無症状。重症化して酸素が必要になるのは15%、5%が重篤で人工心肺装置が必要になるという。

  ニューサウスウェールズ大学(シドニー)のライナ・マッキンタイア教授(バイオセキュリティー)は「重症度について何らかの発言をするのは時期尚早だ。新型コロナ感染症で重症化する人は20%にすぎず、疫学的研究が必要だ。また、入院と集中治療室への収容は発症から遅れる。通常、発症後1週間は軽い症状の状態にある」と話した。

 

Why We Should Be Wary of Writing Off Omicron Cases as ‘Mild’(抜粋)

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