(ブルームバーグ): 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は11月30日、資産購入プログラムのテーパリング(段階的縮小)加速を金融当局として検討すべきだと述べるとともに、高進が続くインフレ動向について「一過性」の表現を取り下げた。ただ、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」は依然としてリスクだとの認識を示した。

  議長は上院銀行委員会の公聴会で証言したもので、来年の利上げ時期が予想より前倒しされる可能性のあるタカ派シフトの発言と金融市場で受け止められた。出席した民主・共和両党議員からは物価高への懸念の声が上がった。

  パウエル議長は「2週間ほど後に開かれる次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で、資産購入を数カ月早期に終了する是非を議論するのは適切だと考える」と発言。「それまでの約2週間に新たなデータをさらに入手し、新たな変異株に関する理解を深めることになる」と続けた。

  11月初めに発表された計画に基づくと、米金融当局は現在のところ、2022年半ばの資産購入プログラム完了を想定している。当局者は12月14、15両日に開かれる次回FOMCでテーパリング加速を決定する可能性がある。

  議長発言を受けて30日の米株式相場は下落し、米国債イールドカーブ(利回り曲線)はフラット化した。米金融当局者は20年3月のパンデミック発生以来ゼロ付近にある政策金利を引き上げる前にテーパリングを完了させたい考えを一貫して示してきたが、議長発言を踏まえトレーダーは利上げ開始の時期が早まり、その後の引き上げのペースも加速されるとの見方を強めている。

  JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は顧客向けリポートで、「向こう2週間で公衆衛生状況の悪化がない限り、FOMCの次回会合でテーパリング加速の決定が下される見込みだ」との見方を示した。

  議長はまた、インフレを表現するのに一過性という言葉を使うのはやめ、「当局として何を意味しているのかもっと明確な説明に努める良いタイミングがきた」と語り、一過性という表現は「インフレ高進の形で恒久的な影響を残さない」一時的な物価の上振れを想定していたと指摘。この見方はおおむね、財や労働力などあらゆるものの供給混乱からインフレが生じたという考えに基づいていたが、いずれの不足状態も解消には比較的長い時間がかかっていると説明した。

  物価見通しを巡っては、「連邦準備制度を含むほとんどの経済予測担当者は、需給不均衡の解消に伴いインフレ率が来年にかけて大幅に鈍化すると引き続き予想している」とする一方、「供給制約の持続性や影響を予測するのは困難だが、インフレ率を押し上げている諸要因は来年まで長引くものと現時点では見受けられる」と話した。

  このほか、米国の労働参加率が伸び悩んでいる点について「意外感がある」とコメント。「労働供給の大幅な増加があるとわれわれ全員が考えていたが、そうした状況にはなっていない」と述べた。

  前回FOMC後に発表された10月の雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが予想を上回り、同月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で約30年ぶりの大幅上昇となった。

  パウエル議長は「前回会合以降、われわれが基本的に目にしたのはインフレ圧力の高まりと、労働供給の改善がないままでの非常に力強い労働市場のデータで、支出の勢いも強かった」とし、「資産購入1ドルごとに緩和の度合いが強まることを想起すると、極めて力強い経済状況と高いインフレ圧力を今や目の当たりにしていることになる」と語った。 

Powell Weighs Faster End of Bond Buys Amid High Inflation (1)(抜粋)

(議長発言やエコノミストのコメント、金融市場の動きを追加して更新します)

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