(ブルームバーグ): 野村ホールディングスは17日、2025年3月期に主要3部門の税前利益で3500億−3900億円を目指すと発表した。同日開催した投資家向け説明会で、奥田健太郎社長らが経営戦略を説明した。22年3月期の実績(2052億円)比では7割以上の増益となる。

  目標額の内訳は国内リテールを担う営業部門が1100億−1300億円(前期実績は592億円)、インベストメント・マネジメント部門が800億円(同715億円)、ホールセール部門が1600億−1800億円(同745億円)としている。23年3月期に税前利益3200億円を目指すとしていた従来目標については今回、開示しなかった。

  これについて奥田社長は「取り下げたというより、マーケット環境が良くてうまくいけば何とか達成可能かと思うが、若干遅れているところもあり、特に国内は厳しいかと考えている」と述べた。営業部門の22年3月期税前利益は、特に年明けから地政学リスクの顕在化を受けて顧客の投資マインドが急降下したことなどで従来目標の半分程度にとどまっている。

  事業環境について奥田社長は、長く続いたグローバルな低金利や低インフレからのパラダイムシフトの中にあると指摘。「従来の発想にとらわれず自らが変化しなければならない」とした上で「社会課題の解決を通じて持続的な成長を達成したい」と強調した。自己資本利益率(ROE)8−10%を目指す目標に変わりはないとも述べた。

     ホールセール部門では、これまで収益の中心だったフィクストインカム(債券・為替・商品、FICC)への依存を段階的に減らし、25年3月期には35%の比率とする計画。部門長のスティーブン・アシュレー執行役員は、ボラティリティーが高く、資本も使うビジネスだとして、プライベート市場やエクイティなどの収益割合を高めることで「市場環境によらず安定した業績を上げることが可能なプラットフォームにしていく」と語った。

     中国事業については、現地合弁証券会社の運用資産残高(AUM)が3月末時点で約1200億円だったと開示。投資銀行業務ライセンス申請準備の一環として、現地で実績あるチームを採用し、資産担保証券(ABS)ビジネスも開始した。

  同時に機関投資家向けに暗号資産などデジタル・アセット関連のサービスを提供する新会社を設立することも発表した。新会社は野村HD完全子会社として22年後半に開業の予定。外部人材なども起用し、革新的な商品・サービスを提供するプラットフォームを早急に構築するとしている。

  アシュレー氏によると、新会社では暗号資産のトレーディング業務や関連ベンチャーに少額出資する投資業務などを行う方針。暗号資産関連ではこれまで、カストディ(資産管理)分野への参入や海外の暗号資産取引所へのマイナー出資などは行っていたが、トレーディング事業は初参入となる。

 

(第3、8段落目を追加するなどして記事を更新します)

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