(ブルームバーグ): アジア諸国の中央銀行は、対ドルで下落する自国通貨を下支えるため、長い年月をかけて積み上げてきた外貨準備を取り崩している。

  タイの外貨準備は17日時点で2214億ドルと、約2年ぶりの低水準。先週後半に公表されたデータで判明した。インドネシアの月次データは、同国の外貨準備が2020年11月以来の低い水準にあることを示した。韓国とインドでもこの1年余りで最低の水準で、マレーシアでは15年以来の大幅な落ち込みとなった。

  GAMAアセット・マネジメントのラジーブ・デメロ氏(ジュネーブ在勤)は、「各国は対ドルで下落する自国通貨を反転させることはできないと分かっているが、下げを緩やかにすることはできる」と述べた。

  アジアの中銀は1997年の通貨危機の教訓から、相場変動の激しい時期に自国通貨を防衛するため外貨準備を積み増してきた。今年は米連邦準備制度のタカ派的なスタンスがドルを押し上げているため、そうしたドル買いの動きを転換している。

  タイやインドネシアは自国通貨のボラティリティーを抑える方針を表明。一方、フィリピン中銀はペソの対ドル相場については市場で決定させるとし、介入はボラティリティー抑制の目的に限るとしている。

  米金融当局が来月も大幅利上げを実施するとの観測からアジア通貨は数年ぶりの安値近辺にある。フィリピン・ペソは27日、05年以来の安値を付け、インド・ルピーは最安値を先週更新した。

  HSBCホールディングスのアジア経済調査担当共同責任者、フレデリック・ニューマン氏は「アジアの中銀は為替レート調整をスムーズにするため『風に逆らう』為替介入を使う傾向がある」と指摘。トレンドの反転には、ドルが幅広く後退する必要があるが、連邦準備制度の引き締めサイクルの終点がより明確なるまではそれは起きないだろうと分析した。

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