(ブルームバーグ): 暗号資産(仮想通貨)業界の混乱は投資家にポートフォリオ調整を迫っているだけでなく、これまで仮想通貨ブームの恩恵を受けていたハイテク業界の一角にも打撃を及ぼしている。エヌビディア製のグラフィックカードだ。

  ゲームファンに長く愛用されてきたグラフィックカードは、仮想通貨のマイニング(採掘)に欠かせない部品としての需要が急拡大し、エヌビディア製品の価格もイーベイなどの二次流通市場で急騰していた。

  しかし、その状況は一変。仮想通貨の価値が急落し、高価なグラフィックカードの需要も減退している。イーサリアムのブロックチェーンネットワークが「プルーフ・オブ・ステーク」と呼ばれる新たな手法に移行し、今ほどの高い計算処理能力が必要でなくなれば、グラフィックカードの需要はさらに低下するとみられる。消費者向けグラフィックカードの市場は3分の1余りが消えるとの試算もある。

  エヌビディアの希望小売価格は変わっていないものの、二次流通市場では過去数カ月で最大50%値下がりしている。ロバート・W・ベアードのアナリスト、トリスタン・ゲラ氏は「2四半期もすれば古くなるかもしれないと知りながらGPU(画像処理半導体)を購入したくはないだろう」と指摘。「仮想通貨関連での購入は着実に減ったと考えている」と述べた。

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  問題は、GPUの最大手かつ米半導体メーカーで時価総額最大のエヌビディアに、こうした変化がどういった影響を与えるかだ。同社は仮想通貨市場の減速が一部製品の需要に影響を与えていることを認めている。こうした需要減退見通しに直面しているのは同社だけではない。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)もGPUを取り扱っている。

  調査会社マークサイトのデータによると、エヌビディアの「GeForce 3080」モデルはイーベイでの取引価格が4月下旬の1100ドルから783ドルに下がった。

  30日の米株市場でエヌビディア株は一時4.4%下落し、約1年ぶりの安値を付けた。同社株の下落などが響き、フィラデルフィア半導体株指数は一時2.7%安と2020年11月以来の水準に沈んだ。

(第4段落を追加して更新します。更新前の記事は第1段落の社名をエヌビディアに訂正済みです)

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