(ブルームバーグ): 5月まで日本銀行調査統計局長を務めた亀田制作氏は、急速な円安進行や食品を中心とした価格転嫁を背景に、日銀が今月示す2022年度の物価見通しは従来の1.9%から2%台半ばに上方修正される可能性があるとの見方を示した。4日にインタビューした。

  亀田氏(SOMPOインスティチュート・プラスのエグゼクティブ・エコノミスト)は、物価の上振れリスクが「既に顕在化してきている」と指摘。特に食品は業界トップメーカーの値上げを皮切りにライバルや二番手以下が続く「同調値上げ」の動きが激しくなっており、23年度も従来の1.1%から1%台半ば前後に上振れる可能性があるとみる。

  日銀見通しが目標に掲げる2%を明確に超えても、コストプッシュの物価上昇局面では「金融政策の路線の修正はないとみている」という。頑なな緩和継続姿勢が「円安を助長している面もある」としながらも、日本経済がコロナ前水準を回復していない中、円安対応の利上げや政策修正は「現状を考えると正当化されない」とも述べた。

  日銀は20、21日に金融政策決定会合を開き、新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表する。消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)は4月に前年比2.1%上昇と消費増税の影響を除くと08年9月以来の高水準となり、5月も2.1%上昇と2カ月連続で2%を超えた。

  一方、日米の金融政策の方向性の違いを背景に、ドル・円相場は3月初めの1ドル=115円付近から、6月29日には一時約24年ぶりの137円台まで円安が進んだ。

  亀田氏は、中国のロックダウン(都市封鎖)による供給制約の強まりが足元の輸出・生産に大きな影響を与えているとし、22年度の実質国内総生産(GDP)見通しは従来の前年比2.9%増から下方修正を見込む。先行きもインフレ高進に対応した海外中央銀行の積極的な金融引き締めを受けて、世界経済全体の減速感が強まりやすいとしている。

  原材料や食品などのコスト上昇が日本経済にマイナスの影響を及ぼすことは間違いないとしつつも、現在はコロナ禍の落ち込みからの回復局面というプラス要因が「少し上回り、消費が回復して日本経済が持ち直してきている」という。夏場以降は「コロナからの回復力が、本当に物価高のマイナス圧力に勝っていけるか引き続き正念場だ」と語った。

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