(ブルームバーグ): 米経済の見通しが急速に悪化しつつある兆候が見られる中、債券市場は今後1年間における米金融政策の反転を織り込んできており、2023年半ばに利下げが実施されると予想している。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、入手するデータを精査しつつ金融当局として「機敏」に対応していくと表明している。ただ金融市場の動きに遅れずついていくためには極めて機敏になる必要がありそうだ。

  1カ月足らず前には、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標が4%を超える水準に上昇する利上げサイクルが織り込まれていた。現在のFF金利誘導目標は1.5−1.75%。

  だがそうした利上げ予想は急速に弱まっており、現在では23年1−3月(第1四半期)に約3.3%でピークを付けると見込まれている。このところの米経済指標では、5月のインフレ調整後の個人消費支出(PCE)の減少したほか、6月の製造業活動も鈍化が示された。そうした状況を背景に、JPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーなど金融機関のエコノミストは米経済の成長予想を引き下げている。

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  一方、6月に公表された米金融当局者の最新の予想中央値では、政策金利は23年にかけて上昇し、3.75%に達するとしている。

  ウィンショア・キャピタル・パートナーズのマネジングパートナー、ギャン・フー氏は「リセッションが起こり、インフレは鈍化、商品価格は下落し、米金融当局は23年に利下げすると市場はみている」と指摘。「このシナリオは一貫しており、見方が弱まるというのは考えづらい。自己実現的なプロセスになり得る」と述べた。

  金利先物市場の動向によれば、米当局は来年少なくとも50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを実施せざるを得なくなると見込まれている。先週遅くの時点では、政策金利は来年2月までに約3.4%でピークを付けると織り込まれていた。これは6月半ば時点で織り込まれたピークを約60bp下回る水準だ。

  市場と金融当局のどちらがより正確かは、債券市場が最近示した予想の正確さを見れば分かるだろう。市場はここ数カ月、金融当局が高インフレ抑制のため想定よりずっと積極的に利上げを実施せざるを得なくなると予想。金利先物市場では、政策当局者らがシグナルを送る前の段階で既に5月の0.5ポイント利上げ、6月の0.75ポイント利上げをそれぞれ織り込み始めていた。

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