(ブルームバーグ):

英国のジョンソン首相が7日、国民向けの演説で辞任を表明した。不祥事が続き、閣僚や与党・保守党内の離反が相次ぐ中で3年にわたった波乱の政権に幕を下ろした。

  ジョンソン首相(58)は官邸前で「新たな党首、従って新たな首相が必要だとする議会保守党の意向が今や明確になった」と発表。自身の辞任は英政界の「群居本能」が原因だと主張した。

  首相側近の1人によると、過去48時間には首相は最後まで戦い抜く意思を示していたが、ついに辞任が避けられないことを認めた。

  この決断に至るまでに閣僚や副大臣、政務官級ら数十人が辞任し、指名したばかりのザハウィ新財務相を含む閣僚メンバーが首相に辞任を迫っていた。

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  ジョンソン首相は新党首選出のスケジュールを来週発表すると述べ、新党首が決まるまでは首相職にとどまる意向を示した。

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  政治と経済の先行きが不透明となった英国には、ジョンソン氏が国を深く分断させて勝ち取った欧州連合(EU)離脱の後遺症が残る。物価は急騰し、経済はリセッション(景気後退)に陥る恐れもあり、労働者のストライキも広がっている。保守党は性的スキャンダルなどに絡んだ悪評がジョンソン政権の下で再び表面化、世論調査では最大野党・労働党の支持率を下回る。

  関係者によると、ジョンソン氏は10月までは暫定首相の地位にとどまりたい意向。ただ、それだけの長期にわたり同氏の首相職継続を保守党が認めるかは定かではない。

  この辞任で保守党党首と首相の座を賭けた後継レースはすでに始まった。明白な最有力候補はいないが、トラス外相や5日に辞任し首相退陣までの流れをつくったスナク前財務相らが加わる公算が大きい。スナク氏辞任の直前に辞意を表明したジャビド前保健相や、ザハウィ新財務相らも党首選に出馬する可能性がある。ブレーバーマン法務長官は6日夜、出馬の意思を示した。

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  ジョンソン首相は「EU離脱の完遂」を掲げ、2019年12月の総選挙で保守党を歴史的大勝に導いたが、振り返ってみればそれが政治キャリアの頂点だった。その後は相次ぐスキャンダルで首相官邸の評価を落としていった。

  決定打となったのは、保守党のピンチャー院内副幹事長の痴漢疑惑だった。ジョンソン氏は以前にも不適切な行動があったことを認識しながらピンチャー氏をこの地位に昇格させていた。

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  新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)中には、首相官邸で行われたパーティーに出席。規制違反を理由に今年4月に罰金処分を受けた。ジョンソン氏は数々の批判にもひるむ姿勢を見せず強気を貫いてきたが、それがかえって保守党内での反発を引き起こしていた。

  後任は誰であろうと、インフレが加速する中で生活費が高騰している英経済を引き継ぐことになる。労働者の不安は強まっており、鉄道や郵便の職員、教師らさまざまな職業の人たちがスト決行ないし、その構えを見せている。物価高騰と労働争議に見舞われた1970年代の光景が重なる。

  新たなリーダーは結束にひびが入った党の立て直しに加え、EUとの関係修復にも取り組む必要がある。離脱合意違反も辞さないジョンソン首相の下で、英国とEUの関係は限界点に近づいている。

  「世界の王」になりたいと少年時代に話していたジョンソン氏。前任のメイ氏とさほど変わらない在任期間で首相官邸を追われることになる。

Johnson Plans to Resign as British Prime Minister: Officials(抜粋)

Johnson to Resign, Aims to Stay as Caretaker UK PM Till Fall (1)(抜粋)

UK Prime Minister Boris Johnson Resigns(抜粋)

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