(ブルームバーグ): ウクライナ軍はここ数週間、戦略的に重要な地域やヘルソン市を占領するロシア軍の補給線を組織的に狙う戦術をとっている。だからと言って、奪還に向けた大規模な攻勢が近いという意味ではない。

  米国や欧州から新型兵器を供給されてはいても戦力的に劣勢のウクライナ軍は、ドニエプル川に面し戦争初期にロシア軍の手に落ちたヘルソン市への大規模な攻撃を今のところ避けている。代わりに注力しているのが敵を消耗させる作戦で、米国が供給した高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」など長距離兵器でヘルソン市西岸にあるロシア軍の補給に利用される橋などを相次ぎ破壊した。

  ウクライナは南部の反転攻勢を準備している可能性が高いが、前進できる自信があり、ロシア軍の兵站(へいたん)や補給線にさらなる打撃を与えられる場合にのみ実行するだろうと、事情に詳しい西側当局者2人が語った。前進すれば攻撃を受けやすくなるリスクもあるため、ウクライナ軍は慎重だという。

  戦争開始から6カ月近くが過ぎ、ウクライナ東部ドンバス地方の完全制圧に向けたロシア軍の進軍は遅々としている。一方でヘルソン州ではウクライナ軍の圧力が強まり、ロシアは南部戦線への兵力増強を余儀なくされた。ヘルソン市西岸のロシア軍をおびき出し分断する戦略は、奪還への猛攻撃ではなく、占領軍を消耗させる数週間もしくは数カ月にも及ぶ長期的な戦いの先触れである可能性がある。

  ウクライナがヘルソンを数カ月以内に奪還する「可能性」はあるが、それより早い時期に実現する公算は小さいと、アレストビッチ大統領府長官顧問は10日のインタビューで述べた。ウクライナの領土の「完全な解放」を達成するため、戦争は少なくとも新年まで、恐らく来年夏まで続くかもしれないとの認識も示した。

 

Ukraine Strategy Targets Russian Army’s Lifelines in Kherson(抜粋)

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