「海洋プラスチック汚染」書評 魚から塩から、もう人の口にも

「海洋プラスチック汚染」書評 魚から塩から、もう人の口にも

海洋プラスチック汚染 「プラなし」博士、ごみを語る [著]中嶋亮太

 海岸を歩けば、量に圧倒されるプラスチックごみ。
 よく知られた問題だけれど、本書で次々に現実を突きつけられると、レジ袋有料化など、あまりに遅れた対策だと痛感する。買い物袋を持って出かけても、商品はプラスチックで包装されている。自宅のごみ箱を見つめ、己の罪深さに恐れおののいてしまう。
 海のプラごみは、このままでは2050年には魚の量を超えるという。魚やクジラ、ウミガメ、海鳥も餌と間違えて食べる。純粋なプラスチックの害は少ないとしても、消化管が詰まって死ぬ生物もいる。さらに、プラスチックに含まれる様々な添加剤の毒性までは検証し切れていない。海産物や海塩として人間の口にも入ってしまう。飲み水にも他の食べ物にも混ざっている。すでに人間に影響が及んでいる問題なのだ。
 捨てられたら回収は絶望的。海岸清掃で79万人のボランティアが参加した作戦で9286トン回収されたが、1年間に海に流出する0・1%に過ぎない。生物が容易に摂取できる5ミリ以下のマイクロプラスチックは、海に浮く数だけで控えめに見ても5兆個以上、銀河の星の数よりも多い。
 ゆくえが明らかでないプラスチックも不気味。海に流出したうち、4500万トンが外洋で浮いている計算だが、観測からの推定は多めに見て44万トン。99%以上が海の表層から消え、「どこかに隠れている」。
 どうすればいいのか。まず、使い捨てプラスチックをとことん減らすこと。海中でも生き物によって分解される代替素材の早い普及もひとつの手段。著者の若い海洋生物学者は、運営するウェブサイト「プラなし生活」で、使い捨てプラスチックを極力使わない生活を具体的に示す。
 地球温暖化のように人間の活動によることを否定する極論の余地もなく、厳然たる事実が目の前にある。それでも我々は便利な生活を手放さず、未来にツケをまわしている。
    ◇
 なかじま・りょうた 1981年生まれ。海洋研究開発機構研究員。著書に『深海と地球の事典』(分担執筆)。


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