新車を大量に導入するワケ

 山手線の駅の時刻表を見ると、もっとも運行本数の多い時間帯の発車時刻は、たとえば「0、2、4、7、9、12、14、16、19、21、24……」となっている。これは「2〜3分おき」と読み取れるけれども、厳密には「2分40秒の等間隔」だ。駅や市販の時刻表では秒の単位を切り捨てるため、分だけの表示だとばらつきがあるように見える。それにしても2分40秒間隔は短い。環状運転の利点を最大に引き出している。

 運行間隔を切り詰める場合は、各列車の性能を揃える必要がある。そこに高性能な新車を導入し、高性能なまま走らせようにも、先行列車に追いついてしまう。したがって、旧型車が混じっている間は、旧型車の性能に合わせるしかない。すべての列車が新型に置き換われば、新型の性能に統一して運行間隔を保てる。このとき、やっと新型車両に合わせた所要時間でダイヤを改正できる。

 分かりやすいたとえでは、東海道新幹線の「のぞみ12本ダイヤ」は、700系が引退し全列車が「N700A」になった時点で可能になった。

 高頻度の運行形態は「山手線に新車が大量に投入され、短期間で全車両が入れ替わる」理由になっている。山手線も京浜東北線も中央線も利用者が多いから、各路線に均等に新車を導入する方が顧客サービスとして平等だ。どの沿線からも不満は出にくい。しかし、山手線は新車を一気に入れ替える必要がある。列車ごとの性能にばらつきがあると、「2分40秒の等間隔」を保てなくなるからだ。

 現在の山手線の電車はE235系で統一されている。E235系は2015年に第一編成がデビューし、2020年には全車両がE235系に置き換わった。つまり、2015年に誕生した編成は、5年間は旧型車に合わせた性能で走っていた。もし、他の路線にまんべんなく新型車両を配ったら、車両の統一まで10年、20年もかかるかもしれない。せっかく新型車両を導入しても、30年程度の車両寿命に対して、10年も20年も旧性能のままで走らなくてはいけない。これではもったいない。

 新型車両は同じ路線に集中配備する。特に山手線のような高頻度路線で重要な考え方だ。そして短期間ですべての車両が置き換わると、路線全体が進化したように見える。現在のE235系の登場は2015年、先代のE231系は2002年の登場だった。次の新車投入も13年後とすれば2028年。踏切撤去は2030年の見込みだから、当然ながら自動運転を前提に開発されることになるだろう。

まもなく渋谷駅で大工事&運休 山手線はどこまで進化するのか へ続く

(杉山 淳一)