銀行がデータを提供するだけでフィンテック企業が収益を得る、いわゆる土管化か、銀行が独自のアプリでデータを得るか、というせめぎ合いが始まっている。

 なお、固定費を削減するとして、システム運用の費用の削減は慎重に行う必要がある。例えばみずほ銀行の連続障害は、コストの削減対象としてシステム保守運用を考えたことが一因である。実は、2021年は、他の大手銀行やスマートフォン決済企業でも様々なシステム障害が発生していた。

 金融情報システムは、様々な他のシステムとの連携によって難易度が高まっている。だから障害の発生をゼロにすることは現実的ではない。障害発生を前提として、その後の対応を速やかに行えるように、相応の経営資源の配分を行って準備しておくことが肝要である。

融資系サービスによる収益の拡大

 次に、銀行の今後の対応策である二つ目の、融資系サービスによる収益の拡大について説明する。元々銀行の国内での収益モデルは、預金で集めた資金で融資をすることで得ていた。収益の源泉は、融資金利と預金金利の差である利ざやによっていた。しかしながら2016年にマイナス金利政策が導入されてから、この利ざやがほとんどなくなってしまうか、マイナスになってしまったのである。

 銀行の収益を見る際に、総資金利ざやという指標がある。これは資金の運用利回りと調達利回りとの差を示すものである。より厳密にいうと、貸出金や有価証券などの利息から得る「資金運用利回り」から、預金利息や人件費など資金調達に要したコストを利回り換算した「資金調達原価率」を差し引いて算出するものである。銀行の本業が収益の源泉となっているかを簡便に把握できる指標である。メガバンク3行、地銀上位4行に、本書で採り上げた北國銀行、インターネット専業銀行2行の決算の5年間の総資金利ざやを表したのが下の表である。

 メガバンクでは、三井住友銀行が利ざやを確保している一方で、三菱UFJ銀行とみずほ銀行はマイナス、いわゆる逆ざやである。言い方を換えれば、取り引きをすればするほど赤字額が大きくなるということである。