平気で嘘をつく。被害者を装い、同僚を陥れる。見事な演技力で周囲を翻弄し、職場の人間関係をクラッシュさせる……。社会保険労務士の石川弘子氏のもとには、そうした“モンスター”としか例えようのない社員に関する相談が多数寄せられているという。

 ここでは同氏による著書『 あなたの隣のモンスター社員 』(文春新書)を引用し、理解に苦しむモンスター社員の“生態”を紹介する。(全2回の1回目/ 後編 を読む)

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モンスターの心理

 モンスター社員を見ていると、「どうしてこんな言動を取るのだろう?」と理解に苦しむ。モンスター社員と一口にいっても、タイプは様々だが、それぞれ問題となる言動にフォーカスして、その背景を理解することは、モンスター社員対策として有益だろう。モンスター社員が起こす色々な問題行動の根本にある心理はある程度共通している。

 歪んだ自己愛  プライドの高さ  自信の無さ  コンプレックス  嫉妬  不満、怒り  傷つきやすさ  依存的

 これらの心理から、様々な問題行動が発生する。その表われ方は人によって異なる。例えば、同じ「自信の無さ」であっても、それが「自慢ばかりする」という形で表れる人もいれば、「パワハラ」という形で表れる人もいる。


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 次に、私が見たモンスター社員の問題行動の裏にある心理を紐解いていこう。大抵のモンスター社員は、これらの問題行動をいくつか同時に起こすので、実際の心理はもっと複雑だろう。また、私自身は、心理学の専門家ではないので、これが正しい見解なのかは分からない。しかし、実際にモンスター社員に話を聞くなかで、「こういった要素があるのではないか」と私自身が感じた事を書いてみることにする。

どうして会社批判や嫌がらせをするのか?

 まず1つ目のポイントは、「その人が、仕事やプライベートも含めた人生に満足しているかどうか?」という点だ。「やりがいのある仕事をして、いい同僚に恵まれ、思いやりある友人や家族に囲まれている」という人で、実はモンスター社員だった、という例を私は見た事がない。モンスター社員の場合、仕事への不満や、人間関係でのトラブル、家族関係の不和などを抱えているケースが多い。過剰な要求や言いがかりなどを繰り返すモンスター社員の心の奥には、世の中への不満や怒り、自分の人生を肯定できない鬱積した思いなどが見えることがある。