再調査報告書でも、生活ノート、学校生活アンケート、教育相談など「早期発見の取り組み」を実施していることを挙げつつも、《これを形式的に実施していただけで、いじめがあるかもしれないという視点をもって、これらを活用出来ていなかったと言わざるをえない》(P58)と指摘している。

小さい子の聞き取りで“家庭の問題”とされた

 18年1月5日、華子さんは自宅のある集合住宅から飛び降りた。遺書はなく、自殺の原因について当初は不明だった。あるとき、調査の責任者が、直接の調査部署ではない「子ども応援委員会」にも報告をしてきたという。

「(名古屋市教委指導部の)指導室長が『自殺があったが、あれは家庭の問題です』と言っていました。でも、私には違和感がありました。ほとんど調査をしていないのに、おかしいと思ったんです。なぜ、そういう話になったのかというと、華子さんには、当時小学生のきょうだいがいました。その子に聞き取りをしたようで、“お父さんは厳しい”というニュアンスのことを言った、というのです。それが既成事実となり、“家庭の問題”とされたそうです。

 小さい子の聞き取りですので、どんな親であれ、厳しい面はあります。そんなこと言っていれば、どこの親でも“問題”になってしまいます。市教委はしばらく、“華子さんの自殺(の原因)は家庭の問題”としていました。その後も、子どもの自殺があると、家庭の問題にする傾向がありました」(同前)

華子さんの弟へのヒアリング要請

 のちに市教委は、華子さんの自殺の原因は、いじめの疑いがあるとして「重大事態」として認定。市教委の調査委「名古屋市いじめ対策検討会議」が設置される。その会議は18年11月2日、華子さんの弟に対して文書を出した。

《弟さんである●●さん(筆者注:長男の実名)の学校での会話等の内容から●●さんに確認したいことが生じました。もしよろしければ、●●さんにもご協力をお願いしたいと思います。華子さんのことで知っていることや何か気になることなど、どんなことでもよいので教えてください。例えば、おうちでの様子、華子さんが言っていたこと(学校、部活、友人について)などです》

 これは、学校での会話が聞き取りの根拠になっていることを表している。高原さんの言うような聞き取りの内容かどうかは不明だが、学校での会話が市教委に上がっていることを意味するのではないか。

「いじめ対策検討会議が長男へのヒアリングを申し出たときに、保護者同伴は拒否されたので断ったのです。紙面でお願いしたら、『姉のことで何か知ってることはありませんか?』との内容だけだったので、きっと私が厳しく子育てをしていることの裏付けを取りたかったのだと確信しました」(華子さんの父・信太郎さん)