東洋有数の歓楽街・東京都新宿区歌舞伎町。喧騒はやがて途絶え、“眠らない街”を束の間の静けさが包み込んでいた。昨年12月29日の朝7時過ぎ。静寂を切り裂いたのは、あまりにも残酷な衝撃音だった。

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小学3年生の男児が約75メートルの高さから落下

 近隣の駐車場で夜勤をしていた男性が振り返る。

「パーンと、すごく大きな音がして……。ああ、誰か落ちたなと。直後、目の前にある歌舞伎町交番から警察官が一斉に飛び出してきて、ホテルの上の方を見上げていました」

 その視線の先、ホテル高層階の非常階段で人影が動いた。警察官が駆け付けると、23階の非常ドア付近で取り乱し、泣きじゃくる母親(47)と、小学1年生の女児(7)の姿。約75メートルの高さから落下したのは、小学3年生の男児(9)だった――。


男児が転落死した歌舞伎町のホテル

母親は「3人で順番に飛び降りるつもりだった」

「男児は即死。身柄を確保された際、母親は錯乱状態だった。母親が非常階段の手摺り部分に男児を座らせ、殺意を持って突き落としたと認めたため、殺人容疑で逮捕した」(捜査関係者)

 現場は2015年に開業した地上28階、高さ90.5メートルの高層タワーホテル。大浴場を完備した最上階からは、新宿副都心の街並みを一望できる。

「非常階段の外に面した側にはネットが張られていたが、男児を突き落とした箇所は破られていた。その場には母親が脱いだブーツが揃えて置かれてあった。母親は『3人で順番に飛び降りるつもりだった』と話しており、無理心中を図ろうとしていたようだ」(同前)