東京都が「まん延防止重点措置」を施行した1月21日、コロナ禍の影響か人もまばらになった夜の池袋駅西口の繁華街近くのラブホテルで事件は起きた。


現場となった池袋のラブホテル ©文藝春秋 撮影:宮崎慎之輔

「『やばいから来て』と友人からラインがあった」

 若い女性の声で公衆電話から110番通報があり、すぐに最寄りの交番の警察官が自転車でホテルに駆けつけた。10階の部屋のドアをあけると、血だらけの老父が全裸で、椅子にもたれかかった状態で見つかった。老父は既に絶命しており、財布からは金が抜き取られていた。

 非業の死を遂げたのは、さいたま市南区に住む今野勝蔵さん(82)。東北の豪雪地帯出身で1人暮らしだった。今野さんには身寄りもなく、遺体の確認は昔の職場の関係者がおこなったという。

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 翌朝、現場から遠く離れた西八王子駅付近で容疑者が警視庁の捜査員に確保され、事件はスピード解決となった。

 殺人の疑いで逮捕されたのは職業不詳の藤井遥容疑者(24)。逃亡を手助けしたとして、藤井容疑者の元恋人である小林優介容疑者(29)と弟の翔太容疑者(25)も逮捕された。

「スピード解決に一役かったのは、昨年より取り付けが強化された防犯カメラでの追跡でした。藤井容疑者は今野さん殺害後、池袋駅付近で小林兄弟と合流し、新宿の歌舞伎町にむかった。その後、池袋の現場に引き返し、規制線の外から捜査の様子を窺ったようです。

 その後は再び歌舞伎町に引き返し、カラオケ店にはいった。事件後にもかかわらず、藤井容疑者もカラオケで歌を歌っています。カラオケが終わった後、ネットカフェに移動し、一晩を過ごした3人は、朝に電車でJR西八王子駅にむかい、改札を出て別れたところをそれぞれ警察に確保されました」(全国紙社会部記者)

 殺害の凶器はカッターナイフだった。藤井容疑者は「トラブルになりかっとなって刺した」「(カッターナイフ)は普段から持ち歩いている」などと供述しているという。