「被告人を懲役9年に処する――」

 2013年1月、韓国の春川地裁法廷。被告人のM子(当時52)は、前年8月、韓国人夫(当時51)の口元をタオルで塞ぎ、殺害した。統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の「合同結婚式」後に渡韓して17年。教団が掲げる“理想の家庭”とは、かけ離れた末路だった。

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生活苦に喘ぎながら夫を扶養、看病し、やがて鬱病に

「結婚してからずっと、貧乏や夫の飲酒、乱暴に苦しんできました」

 M子は逮捕後、こう供述したという。収入は、持病があり無職の夫の生活保護費とM子が家政婦などで得た稼ぎ、日本円にして月10万円足らず。夫は酒を飲んでは暴言を吐き、家の中の物を投げつけた。

「生活苦に喘ぎながらも夫を扶養し、看病してきたM子はやがて鬱病に。夫を殺害後、精神鑑定で軽度の適応障害だったことも判明した」(韓国の司法関係者)


現在も合同結婚式は継続中

 M子は判決を受け入れ異国の刑務所に服役する。

 過酷な境遇に置かれた日本人妻は、M子だけではない。元統一教会信者で『カルト宗教からの脱会』の著書がある冠木結心(かぶらぎけいこ)氏(40代)は、M子と同じく1995年の合同結婚式に参加し、2つ下の韓国人男性と結婚。だが――。

「夫のDVが酷く、私は生まれたばかりの娘を連れて離婚の道を選びました。離婚はご法度でしたから、苦渋の決断でした」(冠木氏)

 内部で「祝福式」と呼ばれる合同結婚式は、原罪から解放され、救済が実現する唯一の方法とされ、信仰生活最大の目標となる。