火葬場と聞けば、「遺体を火葬する施設」とイメージできる人が大半だろう。しかし、実際にどうやって火葬を行っているのか、どのような人たちが火葬業務に従事しているのか、という部分は知らない人が多いのではないだろうか。

 ここでは、元火葬場職員で、火葬技術管理士1級の資格を持つ下駄華緒氏の著書『 火葬場奇談 1万人の遺体を見送った男が語る焼き場の裏側 』(竹書房)から一部を抜粋。「遺体が動く」という火葬中のリアルな光景について紹介する。(全2回の1回目/ 2回目に続く )


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火葬されている遺体が動くという噂は本当だろうか?

 ――火葬炉で焼かれている遺体は、死んでいるのに動くことがあるらしい……。

 まことしやかに囁かれるこの話。果たして本当だろうか?

 じつはこれ、本当です。

「え? でもウチのおばあちゃんのお骨あげのとき、ちゃんと遺骨は気をつけの姿勢のままだったよ!?」

 と思われた方もおられるかもしれない。それもその通りだろう。

 いやいや、だとしたら動いていないじゃないかと言われそうだけれど、この辺りを説明しよう。

 まず、人は火葬されると熱によって筋や腱などが収縮し、ボクシングのファイティングポーズのような姿勢に似てくる。わかりやすくたとえるなら、灯油ストーブの上にスルメを置くとウネウネと熱で動くと思うが、あのようなイメージだ。

 かと言って、じゃあ人も火葬したら、スルメのようにウネウネと動くのか? というと、そうでもない。

 では、どのように動くのか?

 じつは目に見えて「動いている」のがハッキリわかるわけではない。火葬中のご遺体を目視する際、たとえば1度目視で確認してから20分後にもう1度目視すると「あ、手が上がってきてるな」というような感じだ。