組員が「組織的選挙運動」を行うことも…

 多くの選挙において、暴力団へはこれまで述べたような単発の協力依頼がほとんどだ。だが、首都圏に活動拠点を構える指定暴力団のベテラン幹部は、「ある組織の話だが」と前置きしたうえで、選挙のたびに組員が駆り出されるケースもあると打ち明けた。

「この組織は姐さんが(創価学会の)学会員で、選挙のたびに組員の若い衆が公明党の応援に集められる。街頭演説や集会などがあれば聴衆として加わる。当然、組員たちは公明党の候補者に投票することになる」と話す。

 ここで言う「姐さん」とは、暴力団業界では親分=組長の妻のことを指し、どこの組織でも一定程度の影響力があるとされている。このケースでは公職選挙法上は違法なことではないし、正当な投票行動と言えるが、暴力団という組織の集票力がいかんなく発揮される場でもあるそうだ。

 長年にわたり暴力団犯罪の捜査を続けてきた警察当局の幹部はこう指摘する。

「政治家という立場にある以上は、暴力団の資金源を断つために、政府の犯罪対策閣僚会議などの申し合わせでは日常的に暴力団排除運動への協力依頼をし、企業や一般市民に対しても暴力団との関係遮断を要請している立場だ。だからこそ、政治家本人だけでなく、その秘書なども、ヤクザとの付き合いが発覚するなどというスキャンダルは決して許されないだろう」

 現在、連日のように各候補者による「お願い」コールが全国で響き渡っている。

 近年は、かつてのように公然と暴力団組織に票のとりまとめを依頼することは減ってきているという。ただ、いまでも「裏社会との関係はない」という保証はないまま選挙戦は進んでいる。水面下では何が行われているかは不明なことが多いのが実態なのだ。( #2に続く )

汚職逮捕の町長の背中に刺青、議員からパーティー券購入依頼、フロント企業が候補者へ献金… ヤクザと選挙を巡る“水面下の狂騒曲”《衆院選投開票間近》 へ続く

(尾島 正洋/Webオリジナル(特集班))