衆議院選挙が19日に公示され、12日間の選挙戦へと突入した。

 ここから31日の投開票に向け、本格的な戦いがはじまっていく。今回の総選挙では、新型コロナウイルスの第6波に備えた感染防止対策やコロナ禍で疲弊した経済の立て直しなど、争点となる課題は多い。

 また、自民党の岸田文雄首相が就任してから解散までは、わずか10日間しかなかったうえ、解散から投開票までは17日間といずれも戦後最短のスケジュール。さらにコロナ禍での選挙戦と、まさに異例ずくめの選挙となっている。


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 テレビや新聞をはじめとしたメディア界隈も全国的に総選挙一色モードとなるなか、実はあまり関係性がみられそうにない暴力団業界でも選挙となると活動が活発化する。

 当然のことながら、暴力団組員らも有権者だ。

 そして、暴力団の持つ組織性の高さは「禁断の集票マシーン」となりうる。さらに、各候補陣営の演説会や集会などでは、会場を盛り上げるために組員を動員することもあるのが実態だという。(全2回の1回目/ 続きを読む )

かつては選挙戦で暴力団に「カネが出た」

「国政選挙でも地方選挙でも、かつてはかなりの額のカネが出た。当然のことながら、票集めのためだ。国会議員のセンセイ方は『勝つだけでなく、どれだけの票を獲得したか』という実績が必要になる。地方議員も自分の選挙はもちろんのこと、国政選挙でもまとまった票を集めないと所属する党の中で立場がない。だから選挙となると必死になる」

 東京を中心に活動している指定暴力団幹部は、選挙での各陣営の内情についてそんな風に明かす。

「例えば組織に50人の組員がいるとする。上意下達だからこれだけでまず50票は入る。親分が決めたらそうなる。さらに、組員の家族や知人らにも特定の候補者への投票を依頼するとなると、これが200〜300票と増えていく。この票は大きい。地方選挙だったら、これで当落が決まってしまうこともある。(一度お願いされた後も)当落の情勢が厳しく競っていれば、(候補者陣営が)『あと50票だけでも何とかなりませんか?』とさらに頼んでくることもあった。当然、先方はこちらがヤクザと分かったうえで依頼してくる」

 当然だが、選挙においてこうした票の取りまとめを依頼してのカネのやり取りは、公職選挙法に違反することとなる。民主主義の基本となる、公正であるべき公職選挙を害する行為として、選挙違反に向ける捜査当局の視線は厳しい。最近では2019年7月の参院選・広島選挙区で、自民党の河井克行・案里夫妻が、買収行為を行ったとして、揃って公職選挙法違反の買収容疑で逮捕された。