今年7月、モンゴル出身の照ノ富士が横綱へ昇進。伝達式での口上は「不動心を心がけ、横綱の品格、力量の向上に努めます」というものだった。照ノ富士に堂々の横綱相撲を期待するファンは少なくない。外国出身の力士として先輩となる小錦(元大関)と武蔵川親方(元横綱・武蔵丸)の2人が考える、ハワイから海を越えて日本の地で学んだ「相撲の心」、外国人横綱の「品格」とは?(「文藝春秋」2021年10月号より)


照ノ富士。「先場所の千秋楽で照ノ富士も(白鵬の)エルボーをくらったけど、それに耐えられるくらいに稽古をしている」という。

「相撲の心」と「横綱の品格」

小錦 今回、照ノ富士が横綱に昇進したね。「膝がボロボロで短命横綱になるんじゃないか」と心配する声も聞こえるけど、僕は、これから3、4年は行けると思ってるよ。膝がボロボロで大関から序二段まで落ちたけど、そこから上がって来られたわけだから、ケガとの付き合い方も充分にわかっているはず。

 いまの照ノ富士の前に出る力強い相撲だったら、これ以上のケガはしないと思う。彼もそれをわかっているから、あの取り口なんだろうね。

武蔵川 照ノ富士の師匠は元横綱の旭富士さん(伊勢ヶ濱親方)だね。これからも師匠の教えを守って稽古して、自分の持てるものを出し切っていけばいいと思う。先場所での千秋楽、白鵬には負けてしまったけれど、九月場所は東西の横綱同士として“横綱相撲”を見せてほしいよ。

 1963年生まれの小錦さんは18歳で入門。約2年で幕内に昇進し、そのパワーは“黒船襲来”と恐れられ、外国出身の力士としては初の大関になった。一方、71年生まれの武蔵川親方(元武蔵丸)も18歳で相撲界にとびこみ、曙に続いて外国出身力士では2人目の横綱に。