「村上ファンド」を率いてニッポン放送や阪神電鉄などに巨額投資を行い、「物言う株主」として平成の日本経済に旋風を巻き起こした村上世彰さん。投資ファンドや海外アクティビストが日本で活動する下地をつくった村上さんの投資スタイルを理解することは、現在の株式市場の動向を把握するうえで必要不可欠です。現在発売中の 『マンガ生涯投資家』 (文藝春秋)では、村上さんの波瀾万丈の半生と、その投資理念のすべてが描かれています。

『マンガ生涯投資家』を1話から読む


 

父親が投資の先生

 小さい頃からお金が大好きで、預金通帳の数字が増えるのを見るのが楽しみだった村上さん。彼が尊敬するお金の先生は、投資家である父でした。


 

 ある日、父は小学生だった村上さんに「100万円をあげよう」と宣言します。ただし、それには「大学を卒業するまでの分」という条件がついていました。咄嗟に頭の中で計算した村上さんは、「お父さん、それじゃ少ないよ。大学入学までにして」と言い返します。


 

 100万円を手に入れた村上さん。その金を元手に株を買います。これが村上さんの投資家デビューでした。その後、高校生になってますます投資にのめり込んだ村上さん。金の値上がりを見込んで鉱山関係の株を買い、目論見があたって連日のストップ高でしたが、ある日を境に株は暴落。頭をかかえる村上さんに、父はこう諭します。「株は上がり始めたら買え、下がり始めたら売れ」


 

官僚になって分かった日本の経営者の実力

「官僚になって国家というものを勉強しなさい」という父のアドバイスで、通産省に入省した村上さん。上場企業のトップと交流を深めるようになりますが、自分の会社の財務状況を把握していない経営者が多いのに愕然とします。日本経済にとって、これでいいのだろうか……。


 

 投資家が経営者を監視する仕組み──コーポレート・ガバナンスが日本にも必要になってくると確信した村上さんは、通産省の中で勉強会を開きます。「株主と経営者との間に緊張関係があってこそ健全な企業成長が望める」と周囲に説きますが、誰も聞く耳を持ちません。


 

 政策をつくっているだけでは駄目だ。自分がプレーヤーとなって資本市場を変えていくしかない。村上さんは通産省を辞め、投資ファンドを設立することを決意します──。