コロナ禍以降、増えた「手遅れ」

 ここでコロナ禍が関係してくる。

 後部硝子体剥離の症状は、当人にとっては不快であり不安なものだ。世の中が平穏な時期なら「眼科に行って診てもらおう」と考えるところだが、外出自粛が呼びかけられる現況で、眼科を受診するには少しばかりの覚悟がいる。この受診が不要不急か否かの判断は、人によって異なるところだ。

 ただ平松医師によれば、

「新型コロナの流行以降、手遅れの状態になって受診する人が増えていることを実感します」

 とのこと。網膜剥離の要因の一つに“新型コロナ”が加わった状況なのだ。

近視の人は20代、30代から

 後部硝子体剥離は20代から始まり、ゆっくり時間をかけて進行し、60代でほぼ終了、つまり硝子体と網膜は完全に分離する。まぶしさや閃光などの自覚症状が起きる年齢は、多くは50〜60代とされるが、近視の人は発症が早い傾向がある。そのため20代や30代で網膜剥離になる人も多いという。

 左右の目で進行の速度や発症の時期にズレはあっても、両目とも必ず進行していく。

網膜剥離を防ぐには…

 繰り返すが、後部硝子体剥離は老化現象なので、有効な予防法はない。網膜剥離を防ぐには、後部硝子体剥離の症状が出た時点で検査を受け、硝子体の萎縮が正常に進行しているかどうかを確認しておく、つまり「眼科受診」しかないのだ。

 新型コロナ対策の考え方は人それぞれ。家から一歩も出ずに我慢している人もいれば、8人で高級ステーキを食べに行く高齢者もいる。

 どちらが正解なのかは分からないが、失明や視力の低下のリスクを思えば、ステーキを食べに行く勇気があるなら、眼科受診のほうが重要度は高いような気がする。

 いかがなものでしょう……。

(長田 昭二)