迷うのが楽しい、巨大迷路のような城です。城内のあちこちにトラップが隠され、息つく暇がありません。なるほどと膝を打ちたくなる巧妙なしかけ、度肝を抜かれるダイナミックな攻撃設備。裏の裏のさらに裏をつくような、心理作戦も織り交ぜた世界が広がります。敵兵になったつもりで歩くと、ゲーム感覚で城攻め体験ができます。

 たとえば、大手門跡前の通路。正面には太鼓櫓、その左奥には中の門があり、正面に小さく天守が見えます。いよいよ天守が近づき気持ちが高ぶりますが、天守への近道と思える中の門方面は、おとりの道。直進すれば、袋のねずみとなってしまいます。


松山城の本壇。右側が現存する天守

 右手の太鼓櫓下をU字に折り返す坂道が正規ルートですが、ここを進んだとしても中の門が背後になるため、いずれにせよ挟撃されるのは必至です。進むべき方向が真逆というだけでも気持ちが萎えますが、唯一の攻略法は運と勢いという危険度の高さも嫌なものです。

奇襲用の門も潜む

 かろうじて突破しても気は抜けず、むしろここからが攻防戦の本番になります。坂道を上りきり小さな戸無門をくぐり抜けると、すぐ左に城内最大の筒井門が待ち受けます。急に道幅が広がることもあり、敵はおそらく勢いよく攻め込むことになります。

 ところが、ここに城内最大のトラップが隠されているのです。なんと、筒井門の奥には隠門という奇襲用の門が潜みます。