「東洋経済オンライン」編集長、NewsPicks創刊編集長などのニュースサイトを経て、2021年6月に経済人に役立つコンテンツサービス会社「PIVOT」を起業した佐々木紀彦氏。41歳で、18年間勤めたサラリーマン生活に別れを告げた佐々木氏は、「起業は一部の意識が高い人のもの」ではないと語る。 『起業のすすめ さよなら、サラリーマン』 を刊行した佐々木氏が解き明かす、起業にまつわる“誤解”とは――。

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 仕事で理不尽な指示をされたり、上司や同僚と意見が合わない時。持論を、渋々、飲み込んで、会社に合わせていないでしょうか。本当にやりたいことがあるにもかかわらず、我慢しているとしたら、とても勿体ないことです。

 そんなあなたにお勧めしたい選択肢が、「起業」です。

 私自身、18年間のサラリーマン生活に別れを告げ、41歳にして起業中ですが、「人生で最高の選択だった」と言い切れます。その醍醐味とは、「自分の人生の“独裁者”になれること」です。

 けれども、「いやいや、起業するというのは、一部の意識高い人やぶっ飛んだ人の話であって、自分には関係ない。成功する人はわずかだし、リスクが大きすぎる」と思っている人も多いのではないでしょうか。そんなことはありません。もちろん、覚悟と実力と幸運は必要ですが、以前ほど大きなリスクではありません。いまや、普通の会社員が起業する時代が到来しているのです。起業も多様化しており、世界市場を狙うスタートアップもあれば、個人や少人数で行うミニ起業もあります。

 ここでは、私自身も起業するまで思い込んでいた「起業にまつわる誤解」のいくつかを解き明かし、いかに起業がやりやすくなっているか、成功させるにはどうすればよいか、をお伝えできればと思います。


佐々木紀彦さん

「起業=若者の特権」ではない

「起業にまつわる誤解」のまず1つ目。それは、「起業=若者の特権」という考えです。

「学生時代に起業した」という話は、確かによく聞きます。超有名な起業家だと、ビル・ゲイツは19歳、マーク・ザッカーバーグは20歳、日本だとホリエモンは23歳、サイバーエージェントの藤田晋さんは24歳で起業しています。しかし、彼らはあくまでほんの少数派です。

 意外かもしれませんが、データを見ると日本の起業時の平均年齢は43.7歳、起業の本場アメリカでも42歳です。起業の中心は40代。中年世代ど真ん中なのです。

 コロナ禍で有名になったZoom創業者が起業したのは41歳でした。日本でも一時大ブームとなった音声SNSサービスClubhouseも、創業者は40代です。過去の日本の例でいうと、本田宗一郎が本田技研工業を立ち上げたのは42歳でした。そもそも年功序列の色がいまだ強い日本では、米国以上に「中年起業」は有利だと言えるでしょう。