『成しとげる力』(永守重信 著)サンマーク出版

 1973年の創業時、従業員は3人、事務所兼作業場はプレハブ小屋。実績も人手も資金もなかった企業を、いかにして世界トップの総合モーターメーカーに育てあげたのか。その根幹にある経営哲学・人生哲学とは――。日本電産のカリスマ経営者が23年ぶりに綴った本書がヒット中だ。

 なかでも目を引くのは《「一番をめざせ!」「一番以外は全部ビリ」》《「できない」と思うより先に「できる」と百回となえよ》《徹底的に叱って教育》といった昭和的な言葉の数々。

「いまの読者には、かえって新鮮に響くのではと思いました。確かに昭和的な側面もありますが、一方でグローバルな視点で時代を先読みした変革を行い、同時に声掛けや自筆の手紙を送るなど、社員へのきめ細かい心配りがあるのも著者の経営哲学の特徴です」(担当編集者の斎藤竜哉さん)

 本書を貫くのは、「困難には必ず解決策がある。苦しみの後には必ず喜びがやってくる」という人生哲学だ。

「社会的な行き詰まり感があるいま、《すぐやる、必ずやる、出来るまでやる》《泣かない・逃げない・やめない》など独自のイズムで数多の困難に打ち勝ってきた著者の姿は、強く読者を励ますようです。ビジネスパーソンのみならず、60代の女性などからも、生きる勇気を得た、元気をもらったなどの感想が多く届いています」(斎藤さん)

2021年11月発売。初版5万部。現在6刷10万部(電子含む)

(山田 由佳/週刊文春 2022年7月7日号)