「“伝説の投手”上野を攻略できなかった」

 一方で、待ち望んだ“リベンジ”でまたも敗れたことについて、各メディアは悔しさを滲ませつつも、日本代表の戦いぶりを称える声で溢れていた。なかでも、決勝戦でも先発し、アメリカ打線を完璧に抑えこんだ上野に対しては、各メディアがこぞって「legend(レジェンド)」と称賛した。

「2008年、上野は2日間で413球を投げ、チームを金メダルへと導いた。2021年、上野は再びその姿を現した。アメリカチームにとっては、金メダルとの間に唯一立ちはだかるのがレジェンド上野だと感じていたが、まさにそれが現実となった」(米CBS)

「アメリカチームは、2004年のアテネでオリンピック史上初の完全試合を達成し、2008年の北京において4日間で600球以上を投げた“伝説の投手”上野を攻略できなかった」(ワシントン・ポスト)

“奇跡のファインプレー”はどう報じられた?

 東京オリンピックに向けて、アメリカ代表にも2人の“レジェンド”が合流していた。キャット・オスターマン(38)とモニカ・アボット(35)だ。今回の決勝戦では、上野とオスターマンがそれぞれ先発投手を務めたが、それは2008年の北京オリンピック決勝戦と全く同じだった。今大会でソフトボールが五輪競技として復活することを受け、現役を引退していたオスターマンも、代表を引退していたアボットも、アメリカチームに復帰していたのだ。

 ワシントン・ポストは、オスターマンとアボットは「ソフトボールの2大スター」であると綴りつつ、試合後にアボットが上野について語ったこんなコメントを紹介している。「競争心が強く、集中力も並外れています。上野選手について最高だと思うのは、彼女が常に生まれ変わり続け、進化していくところです。ソフトボールの神だと思います。彼女が思う方向に物事が進んでいくんです」

 同紙はその一例として、決勝戦の6回裏に起きた“奇跡のファインプレー”を挙げている。この回、先頭打者にヒットを打たれると、上野に代わって後藤がマウンドへ。そこから日本は1死一、二塁と、この試合最大のピンチを迎えた。するとアメリカの3番、チデスターが放った鋭い打球が三塁手山本のグラブを弾き、そのまま後方へ……。しかし、そのボールを遊撃手の渥美が奇跡のキャッチ。素早く二塁に送球し、ダブルプレーでピンチを凌いだ。

 このプレーに対して、アメリカチームのエリクセン監督は「運が日本に味方していた」(ESPN)と振り返った。また、米スポーツ・イラストレイテッドは、オスターマンの「こんなプレーは一度も見たことない」とのコメントを引用しつつ、こうした言葉で驚きを表現した。「ゴルフボールが木に当たってホールインワンになるような、そんな出来事だった。まさにこの先何十年と、日本がアメリカを2-0で下し、金メダルを取ることに貢献した一つのプレーとして記憶されるだろう」